パンプキンの本棚 ~裁判官 三淵嘉子の生涯~
2024/05/20パンプキンで連載され、書籍化された本を紹介する「パンプキンの本棚」
今回はNHK朝ドラで注目を集める女性初の弁護士・裁判所長となった三淵嘉子さんを描いた小説『裁判官 三淵嘉子の生涯』をご紹介します!
(『パンプキン』2024年6月号より転載。文=小山田桐子)
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日本初の女性弁護士で裁判所長となった朝ドラのモデル、三淵嘉子の生涯を描く
話題の朝ドラ「虎に翼」。その主人公のモデルで日本において女性初の弁護士・裁判所長となった人物が三淵嘉子だ。
良妻賢母を目指すことこそが女性の幸せだといわれていた大正の時代。男社会そのものだった法曹界に飛び込み、戦争ですべてを失いながらも立ち上がり、「差別のない司法」を目指し、自らの道を切り開いていった彼女の生涯はパワフルの一言。
本書はそうした彼女の優秀さ、情熱を伝えつつ、仕事と家庭の両立に悩む姿や、おいしいものに目がなく、けんかっ早いといった人間臭い一面なども描いている。
被告人の過酷な境遇に深く同情し、法廷で涙するなど、法律家であると同時に人間であることを忘れず、被告人や同僚、そして家族と正面から向き合い続けた三淵嘉子。そんな嘉子の可能性を信じ、茨の道を進む彼女を応援し、支えた両親など家族の物語としても印象的。
読めば胸が熱くなる、すべての女性の背中を押してくれる人間賛歌だ。
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「わたしが女に裁判官ができることを証明します。
男と同じ試験に合格したのに、裁判官になれないのは理不尽です」
きちんと知っておくべきだろう。
社会でどんなことが起きていて、人々が何に胸を痛め、泣いているのか
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書誌情報
書名 裁判官 三淵嘉子の生涯
著者名 伊多波 碧
定価 880円(税込)
発行年月 2024年3月
判型/造本 文庫版並製/272ページ