【潮10月号の読みどころ】民衆こそ王者――池田大作とその時代

すべての国境、体制を超えて結集せよ 足立区の大谷恭平は、新聞で報じられた故コスイギン首相の娘と池田の出会いに触れて〈文化・教育レベルでの交流がいかに大切かを垣間みる思いがする〉と綴った。ふだんの地道な学会活動が、国境や人権を超えた平和運動に直結している――その現実に胸を震わせた一人である。 特に印象に残った池田の言葉があった。ソ連対文連（ソ連対外友好文化交流団体連合会）を表敬訪問した際の挨拶である。「友好の集い」が催され、池田は臨時の司会役を買って出た。――私は日本人だが、その前に人間である。クルグロワ議長もソ連人だが、その前に人間である。イギリス人もフランス人も、その国の人である前に、人間である。 人間には、幸福と生存と平和に生きる権利がある。政治も、経済も、科学も、教育も、本来、その権利を守り育成するためにあったはずである。にもかかわらず、現実はそのバランスが逆になりつつあり、そこに最大の問題がある。 幸福と平和を追求する人間が、すべての国境、体制を超えて結集するところに、未来への鍵がある。その理想を現実に変えようと戦ってきたのが創価学会の歴史である――この信条を、池田は繰り返し訴えている。（P.137-138） お父さんの花 お母さんの花 山形の三浦敬勝は「カナダの総会よりも、ナイアガラの滝の絶景よりも、池田先生の配慮が忘れられません」と語る。 宮城から一人の婦人が参加していた。〈……この方はどこへ行くにも、またお会いするたびに、胸になくなられたご主人でしょうか、写真を抱いておりました。「お父さん、とうとうニューヨークへ着きましたよ」「お父さん世界一のナイアガラの瀑布ですよ」「ほらミシガン湖の上を飛んでいるんですよ」と、写真のご主人に語っておられるようでした〉 交流団のスケジュールも慌ただしい。三浦はとくに写真の事情を聞くことはなかった。「トロントで、池田先生からいろいろな伝言が届いたんですが、その中に『ご主人の写真を胸にさげていらっしゃる方へさしあげてください』という一言があったんです。ちゃんと記念の品が届いていました。私はあんなに驚いたことはなかった。感動しました。先生はどこまでご覧になっているんだろうか、と」 その婦人――佐藤ふじ子は亘理町に住んでいた。帰国後、交流団の文集に〈亡き夫とともに参加〉した喜びを綴っている。〈生前は毎日毎日、二人で支部内を家庭訪問、楽しい広布旅でした。……どの道も、亡き夫と共に走った広布道。ゆえに楽しく（自転車の）ペダルを踏む毎日です〉（P.142-143） 彼らは人間なのです 末期がんの闘病を続ける身で、デーヴィッドは終始、穏やかに語り続けた。「私はウクライナ戦争で苦しんでいる人たちを、『ロシア人』や『ウクライナ人』だとは思っていません。彼らは『人間』なのです。これが池田先生から教わった人間観です。 絶望を感じるのは簡単です。しかし学会活動をして、若者を助け、人とつながることで、絶望は消えていく。 先生は『人間革命』の冒頭で〈戦争ほど、残酷なものはない。戦争ほど、悲惨なものはない。だが、その戦争はまだ、つづいていた〉と書かれた。まさに今のことです。（シカゴの）私の家から歩いてすぐのところにリンカーン・パークがあります。先生が『新・人間革命』で描かれた場所です（編集部注＝第一巻「錦秋」の章）。 人種差別の実態を目にされた先生は、被害に遭った少年に誓いました。〝君が本当に愛し、誇りに思える社会を、きっとつくるからね〟と。これこそＳＧＩが日々行っていることであり、このことがウクライナ、ロシア、そして世界全体に希望を抱かせる力になる。私はそう確信します」（P.148）☆大好評連載「民衆こそ王者――池田大作とその時代」に寄せられた〈識者の声〉を一部無料公開中。記事はコチラから。

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連載ドキュメンタリー企画 民衆こそ王者――池田大作とその時代 道を開く人篇（2）

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民衆こそ王者――池田大作とその時代　道を開く人篇（2）