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公明党は最も国民の側にいる政党(下)

歴史的転換点を迎えた日本の子育て政策。後編では、子育て政策を巡るトピックである大阪府の高校完全無償化が孕む問題点や、公明党議員に脈打つ精神などについて、教育学者・日本大学教授の末冨芳氏に綴っていただきました。
(月刊『潮』2023年9月号より転載、全2回中の2回目)

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大阪の高校無償化に
孕む問題点とは

 子育て政策を巡る最近のトピックとして、大阪府の吉村洋文知事が進めようとしている高校完全無償化があります。所得制限を設けず公立も私立も完全に無償化するという案は画期的であり、私もぜひ実現してもらいたいと思います。

 しかし、現行案のままでは実現が難しく、仮に推進できたとしても持続可能性がないため、結果として子どもやその家族のためにならない可能性があることを懸念しています。

 知事の提案は、私立高校は年間60万円を標準授業料という形で価格統制し、すべての子どもたちの授業料は60万円までは国と府からのを合わせた補助金で賄うことで実質無償化するという政策です。60万を超える費用は学校側が負担します。

 しかし、この60万円という価格には確たる根拠がなく、価格統制によって私立高校の教育の質を画一化してしまう可能性があります。こうした旧ソビエト連邦などを思わせる社会主義や共産主義に特徴的なアプローチは、自由主義を標榜している日本維新の会らしからぬ手法です。

 また、60万円の授業料と全国ワースト2位の私学助成金だけでは、大阪の私立高校は公立よりも安く経営されることになります。私立高校がこれまで積み重ねてきた特色ある教育が持続できなくなり、安かろう悪かろうの教育しか提供できなくなるかもしれません。仮に経営難の私立高校が出てくれば、公立高校の統廃合によって広がってしまった大阪の〝高校空白地帯〟がさらに拡大する可能性もあります。実際、大阪だけでなく府外の学校に通う生徒も対象となるため近畿地方の私立高校から相次いで難色が示されています。

 政策決定のプロセスもまた問題でした。生徒はもちろん、保護者や私立高校と十分な対話や協議を行わず性急な形で提案してしまったのです。丁寧に対話をしていれば、もっと良い案にできたはずです。対話を通じて60万円ではなく、65万円や70万円の授業料補助にしていれば、私立高校の反応も違ったでしょう。

 確かに現在の日本は高校・大学にお金がかかりすぎるため、自治体による無償化の取り組みは歓迎すべき動きです。しかし、ただ無償であれば良いのではなく、大切なのは子どもたちが良い友達や先生と出会い自分らしく成長できるかどうか、そして制度自体が持続可能なものかどうかです。

 大阪に魅力的な学校がたくさんあることが子どもたちにとって幸せなことなのに、今のままではむしろ大阪から魅力的な学校がなくなってしまいます。これでは一体、何のための無償化なのでしょうか。

 そもそも、維新の所得制限撤廃の主張には一貫性がなく、公明党が未来応援給付金の時に制限なしを主張した際、吉村知事はそれをあからさまに批判しました。しかし、そのことと現下の高校完全無償化との理念的な整合性が見えてきません。吉村知事は制度の仕組みにこだわるあまり、〝何のための政策か〟という理念が抜け落ちてしまっているようにも見えます。

 維新は現在、日本社会を覆うフラストレーションを追い風に勢力を強めています。しかし、こうした政策決定のプロセスをつぶさに見ていると、今のままで政権与党が務まるかは疑問です。政治に何より求められるのは、持続可能な制度と、全員とは言わなくとも多くの人々が安心感、納得感の得られる合意形成なのですから。



次の課題は
子どもの権利擁護機関の設置

 そうしたことを踏まえると、各所との粘り強い対話による合意形成を得意とする公明党が現在与党であることの重要性を感じます。それに公明党の子ども政策は、いかなるときも「教育の最大の目的は子どもたちの幸福にある」との信念に立脚し、〝誰のためなのか、何のためなのか〟がブレません。

 公明党の素晴らしさはそれだけではなく、常に次なる進化を見据えているところです。例えば、こども基本法は施行から5年後に見直しが行われ、その際には子どもコミッショナーやオンブズパーソン(第三者委員)といった子どもの権利擁護機関の設置を議論することになっています。これも基本法制定のプロセスのなかで公明党が最後まで粘り強く訴えた結果です。

 悔しくも施行時の設置ではなく、5年後見直しになったのは、我々専門家の責任です。権利擁護機関の必要性こそ訴えてきたものの、果たしてその機関が具体的に何をすべきかという点について、専門家のあいだで合意形成ができていなかったのです。

 共産党も権利擁護機関の設置を主張していますが、重要なのはその機関が何を行うべきかです。役割や権限を決めないまま設置したところで、子どものためにはなりません。公明党が次なる議論のきっかけを作ってくれたので、今度は私たちが専門家としてしっかりと議論を前に進められるように尽力するつもりです。

 例えばジャニーズ事務所の前社長による未成年に対する性加害問題も、国に子どもコミッショナーが設置されていれば、さまざまな対処が打てたはずです。話題の過熱ぶりに乗じて児童虐待防止法の改正を主張する議員がいますが、私に言わせればそれは小手先かつピント外れの主張に思えます。

 この問題の対応については、私はこども家庭審議会の部会から始まるのではと予測していますが、ではその部会で何を審議し、芸能界に勧告するとしたら、関係省庁とどのように連携を取っていくのか。今必要なことは一つ一つの事例を積み重ねた丁寧な仕組みづくりです。子どもの権利擁護機関を有する他国の調査研究も進めつつ、また与野党が合意できる形で、どうすれば子どものための実効性のある対策になるのかを考えなければなりません。



公明党議員に脈打つ普遍的な精神

 公明党は発足時から今日まで、業界団体などの利害関係に囚われず、国民一人ひとりの小さな声に寄り添い続けてきました。そうした意味では、最も国民の側にいる政党は公明党です。このことはもっと多くの国民に理解されて良いことだと思います。

 選挙の時にはどの政党も聞こえが良い言葉を並べます。しかし、現実に大変な思いをされている女性や子ども、障がいや疾患がある方々の声と向き合い、他党の心ある方とつながりながら、最後は自民党と対話して政策として着地させているのは誰か。それは他ならぬ公明党です。

 政治と宗教の結びつきをネガティブに捉える人は少なくありませんが、公明党とその支持母体である創価学会は両者で協議したことをマスコミにも毎回公表しています。その点で問題があるのはむしろ自民党のほうでしょう。自民党は旧統一教会や神社本庁との協議の内容を公表していません。公明党の透明性を見習うべきです。

 公明党の議員が皆、本当に子どもたちのことを第一に考えて行動しているのはなぜだろうと感謝とともに考えてきました。なぜ公明党にはできるのか、そしてなぜ他の政党にはできないのか。

 創価学会は日蓮仏法を信奉する宗教団体です。仏教は宗教であると同時に、私たちの国を形作ってきた文化の源でもあります。命を尊び、困っている人に手を差し伸べる――そうした長く日本に根差してきた仏教の普遍的な精神が、公明党の議員たちには脈打っているのではないでしょうか。今後も日本の子育て政策は公明党が主導することになるでしょう。大いに期待しています。

公明党は最も国民の側にいる政党(上)コチラから。

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教育学者・日本大学教授
末冨 芳(すえとみ・かおり)
1974年山口県生まれ。京都大学教育学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。博士(学術・神戸大学大学院)。専門は教育行政学、教育財政学。文部科学省中央教育審議会委員等を歴任。著書に『教育費の政治経済学』など。

 

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