プレビューモード

イースター島最新ガイド

月刊『潮』で連載中の小説「緑閃光」(赤神諒・著)

環境破壊がもたらす人類の危機をテーマに、人口爆発による文明崩壊の瞬間を描く。文明存続のための戦争(殺人)は、我々に何をもたらすのか。ポリネシアの神秘の島・イースター島を舞台に、歴史を教訓として、未来に警鐘を鳴らす。 

物語の舞台となるイースター島。モアイ像が有名だが、文化・歴史などをご紹介する。

イースター島最新ガイド

①絶海の孤島

一生に一度は行きたい〈神秘の島〉ではないでしょうか?チリ領イースター島は、南米の本土から西へ約3700キロメートル、大きさは佐渡島の1/5ほど。沖縄くらいの緯度で気候は温暖ですが、南半球にあり日本とは逆です。7~10世紀に航海術に長けたポリネシア人が移住して独自の文明を築き、18世紀の人口は7000~3万人と考えられています。

②モアイ

 

平均身長4メートル、重量12.5トンともされる謎の巨大石像「モアイ」は、1000体近く見つかっています。島では金属が産出されないため、モアイは膨大な時間と労力をかけて黒曜石で掘り出され、諸説ある運搬方法により「アフ」と呼ばれる祭壇に、信仰目的で立てられました。物語は、ラパヌイ文明が崩壊してゆく「モアイ倒し戦争フリモアイ」の時代を描きます。

③ホツマツア王

南海岸にある最大級のアフ「アカハンガ」。戦争で打ち倒されたモアイ像が無残に転がる史跡の入口では、初代の王ホツマツアの木像が出迎えてくれます。現在のヒヴァ・オア島(フランス領ポリネシア)から「双胴船カタマラン」と呼ばれる巨大カヌーで大海原を渡ってきたと考えられています。『緑閃光』は、彼の44代目の子孫の時代を描きます。

④タパ

未開人が裸で暮らす文明と思われがちですが、ラパヌイ文明では、桑の樹皮を叩いて「タパ」という布を作り、衣服としていました。これは、他のポリネシア地域にも見られます。文明の滅亡期には樹木が激減していたため、衣服も満足に作れませんでした。写真は、タヒチ博物館所蔵の18世紀後半のタパですが、ごわごわした質感ですね。