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女性委員長に聞く公明党の女性政策

今年、結党60周年を迎えた公明党。
結党以来小さな声に耳を傾け、女性の視点から多様な政策を提案。教科書無償配布や児童手当、DV防止法や、不妊治療の保険適用など着実に推進してきました。
「すべての女性が健康で希望をもって、自分らしく活躍できる社会」を目指す公明党の女性政策のこれまでとこれからを、竹谷とし子女性委員長に伺いました。
(月刊『パンプキン』2024年12月号より転載。取材・文=増沢京子 写真提供=竹谷とし子事務所)

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男女共同参画を加速させる「DEI」方針を発表

「公明党は結党以来、『だれ一人取り残さない』政治の実現に向け、とりわけ声が届きにくかった女性の声を政策に反映させてきました」と竹谷さん。

これまで女性からの要望が多かった子育て支援や福祉、教育、そして東日本大震災以降は女性の視点からの災害・防災対策も進めてきた。今は、共働き・共育てを支援するため、男性が育児休暇を取得しやすいよう給付金の増額等にも取り組んでいる。

「今、ダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(包摂性)のある社会が求められています。政策の立案・決定過程において多様な意見を的確に反映するためには、政治分野での男女共同参画をさらに加速していく必要があります」と語る。

 日本は、世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数は118位と男女格差が非常に大きくなっている。「健康と教育の分野では男女格差はほとんどない一方で、経済と政治、とりわけ政治参画の分野での女性比率が低くなっています」

この状況を踏まえ、公明党は9月26日に、政治分野での男女共同参画を加速するため、「DEI」(女性活躍・多様性尊重ポリシー)を発表した。この中で、党の女性国会議員の割合を10年後までに30%(現在、13.7%)、長期的に50%を目指すとしている。

「子育て世代の国会議員や地方議員と意見交換を繰り返して方針を策定しました」

 

公明党の女性政策これまでの主な実績

HPVワクチンの接種
子宮頸がんは年間約1万1000人が罹患し、約2900人が亡くなっている。子宮頸がんの原因はほとんどがHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染で、その予防効果が高いのがHPVワクチンだ。WHO(世界保健機関)が推奨し、世界100か国以上で公的予防接種として推進されている。「日本では2013年に公明党の尽力で定期接種化され、小6~高1の女性は無料接種になりました。ところが副反応を疑われる報告が続き、"積極的な勧奨"が一時中止に。その後安全性が確認され、22年に再開されました」。この間に接種の機会を逃した女性(1997年4月2日~08年4月1日生まれ)を対象に、現在無料の「キャッチアップ接種」(25年3月まで)が実施されている。

 

困難女性支援法の施行
生活困窮や性被害、DV(配偶者などからの暴力)、家庭関係の破綻など困難な問題に直面する女性に寄り添って支援する新たな枠組みが、公明党の推進で24年度からスタートした。「困難を抱える女性の一人ひとりのニーズに応じた多様な支援、たとえば、一時保護や心身の健康回復のための医学的・心理学的援助、就労や住まいに関する情報提供、自立促進のための生活支援などに行政と民間団体が協働して取り組む体制を整備していくことになりました」

 

子育て応援トータルプラン
公明党は、「子どもの幸せを最優先する社会」を目指して、教科書の無償配布や児童手当の創設・拡充を実現してきた。06年には「少子社会トータルプラン」を策定し、幼児教育・保育の無償化や生活を犠牲にしない働き方を提唱、実現。「22年に『子育て応援トータルプラン』、さらに昨年3月に『次世代育成のための提言』を発表しました。その中で結婚・妊娠・出産から高校・大学まで、ライフステージに応じた支援を提案し、児童手当の所得制限の撤廃と高校生世代までの対象拡充、出産一時金の増額など着実に実現しています。今後は高校授業料実質無償化の所得制限撤廃や学校給食の無償化も目指します」

 

これからの公明党の女性政策

今、共働き世帯は専業主婦世帯の3倍になるなど、女性の生き方、働き方は多様化している。

20年から公明党の女性議員は各地でさまざまな立場にある女性の声に耳を傾ける「ウイメンズトーク」を展開。その声を女性委員会に集め、有識者の意見も聞いて「すべての女性のためのトータルプラン」をまとめ、昨年5月に政府に提出した。

「これは5つの柱と84項目の政策から構成されています。"すべての女性が自分らしく活躍できる社会"は、男性や高齢者、障がいのある方にとっても働きやすく、生きやすい社会につながると確信しています」と竹谷さんは語った。

※図は編集部作成

女性の経済的自立支援のため賃金格差を是正

トータルプランの5つの柱の中に「女性の経済的自立支援」と「生涯にわたる女性の健康支援」がある。

22年の経済協力開発機構(OECD)の調査では、男性の賃金を100とした場合、日本の女性の賃金は約79で、OECD平均の約88を大きく下回っている。

「そこで公明党の提案で、従業員が301人以上の企業や公的機関に対して男女の賃金差異の公表が義務化されました。男女間の賃金差を『見える化』することで男女の賃金差の是正に向けた行動変容が始まっています」
 
日本で男女の賃金差が大きい原因のひとつが、出産や育児を機に離職する女性が多いことだ。そのため勤続年数が短くなり、またキャリア形成の機会が減り、管理職への登用も少なくなる。仕事と育児の両立支援のために25年度から、事業主に対して、たとえば3歳未満児を育てる場合にはテレワーク導入が努力義務化され、さらに3歳以上就学前の子を育てる場合には、始業時間の変更や短時間勤務制度、テレワークなどから2つ以上実施することが義務化される。

「出産や育児中でも仕事を継続できる環境を整備していくことで男女の賃金差を解消し、また男女とも長時間労働の是正により子育てしやすい環境を整備することが"少子化対策"につながると考えています」

すべての女性が生涯にわたり健やかに暮らせるように

そしてどんな年代にとっても重要なのが健康だ。

「公明党が06年に提案した「女性の健康ナショナルセンター」が、本年10月1日、「女性の健康総合センター」(小宮ひろみセンター長)として実現しました。女性は生理や不妊、妊娠、出産、更年期障害など生涯の中でさまざまな健康課題に直面します。ここは女性の健康に関する研究・診療の司令塔となるもので、全国の自治体との連携が進むよう取り組んでいます」。

また、女性が安心して働き続けられるよう、「事業主健診の問診に月経困難症や更年期障害などの項目を追加し、産業保健体制の充実も図ってまいります」という竹谷さん。

男女の性差に着目して女性特有の悩みや疾患に細やかに対処する体制が整いつつある。

読者へのメッセージ

これまで長い間、女性政策というと子育て支援が中心でした。しかし今は「共育て」「共働き」の時代になり、子育てイコール女性政策ではなくなりました。一方で、働く女性やシングルの子育て世帯、単身世帯が増えており、就労支援を望む声をいただくことが多くなりました。

そこで女性の所得アップや子育て、介護中の女性が仕事をできるようにデジタル人材育成プランを提案し、e-ラーニング(※オンラインでの講座)による職業訓練も可能にしました。あるとき、街頭演説会で若い男性から「おかげさまで僕も、e-ラーニングで職業訓練を受けて、IT企業に就職することができました」とお声をかけていただきました。

女性の声から実現させた政策はすべての人にとって有用な政策で、その人の人生も社会全体の質も高めていけると実感したうれしい出来事でした。

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公明党副代表/参議院議員
竹谷とし子(たけや・としこ)
1969年、北海道標津町生まれ。創価大学経済学部在学中に公認会計士試験に合格。卒業後、監査法人を経て経営コンサルティング会社の執行役員として企業のIT導入による経営改善の仕事に従事。2010年参議院議員に初当選。復興副大臣、財務大臣政務官のほか、参議院災害対策特別/総務/法務委員長などを歴任。現在、3期目。公明党代表代行、女性委員長、東京都本部顧問などを務める。

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