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2025/02/077月の参議院選挙において大阪選挙区から挑戦する杉ひさたけさん。生活者の実感に即したビジョンを描けることが公明党の強みだと力強く語る。
(月刊『潮』2025年3月号より転載)
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杉ひさたけ公式ホームページより
家計の所得向上を後押しするために
公明党は自民党とともに昨年末に与党税制改正大綱を決定しました。物価高が国民の生活を直撃している現下の状況を受けて、我が党が最もこだわったのは、子育て世帯をはじめとした家計の所得向上を後押しすることでした。なかでも、公明党の強い主張によって大綱に盛り込まれたのは、高校生年代(16~18歳)の子どもがいる親の税負担を軽くする扶養控除の維持です。子育て世帯向けには、住宅ローン減税の優遇措置の1年間延長も盛り込んでいます。
所得向上のためにも、所得税が課され始める"一〇三万円の壁"については、来年から課税最低限を123万円に引き上げることになりました。「一二三万円」というのは、食料など生活必需品を含む基礎的支出項目の消費者物価が1995年から20%程度上昇している現状を踏まえての金額です。
なお、与党税制改正大綱では「一二三万円」としましたが、昨年末に自公と国民民主の幹事長で結んだ合意文書には「一七八万円を目指す」と明記されています。したがって、引き続き協議を行っていくことになっています。
また、今回の与党税制改正大綱では、働きたい大学生が税を気にせず働けるよう、大学生年代(19~22歳)の特定扶養控除の収入要件を103万円から150万円まで引き上げることも決定しました。
税制は組み立てが大切です。今般の協議は、長年変わってこなかった課税最低限などの考え方を整理するよい機会になっていると思います。そして、ひとまずの結果として税の世界から完全に"一〇三万円"という基準がなくなったことは、大きな変化です。
軽減税率の導入に新人議員として尽力
ここからはあくまで私の私見ですが、インフレに対応する税控除の仕組みは、アメリカを参考にするとよいと思っています。私は米国公認会計士(デラウェア州)の免許を持っておりましたが、試験に合格するために同国の税制をずいぶんと勉強しました。アメリカの税制には、インフレに連動するかたちで、日本における基礎控除に似た標準控除額が毎年変わる仕組みがビルトイン(あらかじめ実装)されているのです。
この件は、昨年12月の財政金融委員会の質問でも取り上げました。例えば日本では、年金が物価賃金スライドで自動的に改定される仕組みになっています。いますぐとは言わずとも、税控除も改定のたびに議論をしなくてもよい仕組みをつくるべきだと思います。
思えば、私が2013年7月に初当選させていただき、最初に取り組んだ仕事も税制にかかわるものでした。消費税の軽減税率の導入です。
当初、自民党と財務省は軽減税率に消極的でした。そこで公明党として、自民党と財務省の懸念を解決する対応策を作成することになり、私がその資料の作成に当たらせていただいたのです。まだ当選して1年も経っていない新人議員でしたが、公認会計士や税理士としての経歴を生かして全力で取り組みました。
自民党や財務省が懸念していたのは、例えば会計システムへの影響や請求書の書き方、会計帳簿のつけ方などでした。私が作成した資料を党幹部が協議で活用してくださり、それらの懸念の解消に一役買うことができたのです。そうした公明党の粘り強い働きかけによって、軽減税率が導入されることになりました。
導入当初は批判的な声もありましたし、いまとなってはもはや当たり前になっている軽減税率ですが、その後のコロナ禍や現下の物価高のことを考えると、国民の皆さまの生活を支える仕組みになっているのではないかと自負しています。また、いま振り返れば、当選直後にして国会議員として仕事をする責任感や、税制の重要性を認識させていただくよい機会になったと思います。

大阪が抱える大きな課題とは
2013年の初当選以来、私が継続的に取り組んできたことの一つが、若者に向けた政策の推進です。12年、ずっと党青年委員会に所属し、昨年からは委員長を務めています。
13年当時は、ブラック企業が社会的な問題になっていたので、15年に成立した若者雇用促進法の推進などに尽力させていただきました。また、党青年委員会として、若者の意見を聞く「ユーストークミーティング」や、若者に対する政策アンケート「ボイス・アクション」を継続して実施し、そこで吸い上げた声から、2020年の携帯電話料金の引き下げが実現しています。
大阪選挙区選出の参院議員としては、地元・大阪の課題にも向き合ってきました。いま、大阪が直面している大きな課題の一つに、一人当たり県民所得の低迷があります。平成の初めごろまでは東京に次ぐ第2位に大阪がランクインしていたのですが、最近は東京が第1位、愛知が第2位というなかで、大阪は10位台後半となっています。
一人当たり県民所得は、県内総生産を人口で割ったもので、決して個々人の給与の水準などを示すものではありません。また、企業の利潤も含めて人口で割られているので、本社機能の東京移転や、大企業の存在などの影響も受けます。しかし、一人当たり県民所得の伸び率で見ても、大阪の順位は、近年は全国で30番台後半となっているので、経済の活性化をこれまで以上に推進しなければならないと決意しています。
また、大阪は健康寿命の都道府県別ランキングでも男女ともに40位台に甘んじており、その影響もあってか、大阪市の介護保険料は全国一高くなってしまっています。2025年で団塊の世代のすべての皆さんが後期高齢者となり、2040年には超高齢社会のピークを迎えます。今後は、健康に年を重ねていただける大阪を目指さなければならないという問題意識を持っています。
国会議員は国民に範を示すべき存在
公認会計士は"お金のプロ"と呼ばれます。その立場から、先般改正された政治資金規正法の議論には、人一倍の強い思いを持って臨んだつもりです。
率直に申し上げて、従来の政治資金の報告の在り方は、民間企業の常識からは大きく逸脱しており、時代遅れと言わざるを得ませんでした。個人事業主の皆さまのほうが、しっかりと記録・申告・納税を行っていると言われても無理はありません。お金にかかわることは、本来であれば政治家こそが範を示さなければなりません。私自身は初当選以来、その心持ちで政治資金の管理を行ってきました。
具体的には、私が代表を務める政治団体においては、民間企業が行っているように、帳簿は複式簿記でつけ、取引は、コインパーキングなどどうしても現金で支払わないといけないものを除いて、可能な限り銀行振込で行い、必ず取引の痕跡が残るようにしています。その上で、インターネットバンキングのデータは会計帳簿に自動連携させ、政治資金の収支報告書はオンラインで提出しています。
"お金のプロ"として働いてきた私にとっては、これらのことは当たり前の行いです。ところが、改正政治資金規正法の議論の際に、このことを委員会の質問で取り上げると、一部の野党議員からは否定的な野次が飛んできました。徹底的に自民党の裏金問題を追及していた政党の議員ですら、こうした認識でいることに残念な思いを抱くとともに、日本の政界の慣習の根深さを思いました。
じつは、改正された政治資金規正法には、附帯決議として複式簿記の導入を目指す旨が盛り込まれています。これも一朝一夕には進まないかもしれませんが、まずは私自身が率先垂範の姿勢を示し、必ず実現してまいります。
お金に限らず、政治の世界には他にもさまざまな特殊な慣習があります。議員になる前は民間で働いていた私にとって、国会議員になり立てのころは、新たな慣習を知るたびに違和感を覚え、戸惑いました。
2期12年の議員生活のなかで、常に心にとどめてきたのは「当選当初に抱いたこの違和感や戸惑いを絶対に忘れてはならない」ということです。

もちろん、すべてのルールや慣習を民間に合わせることが正解ではありません。しかし、国民に範を示すべき存在である政治家としては、社会のアップデートにはきちんとついていくべきだと思うのです。「政治は特別」という論理は一切通用しません。
その点、会計士として積み重ねた経験を、いよいよ生かさなければならないと感じています。会計士として働いていたころには、いろいろな企業の監査を行っていたので、会社の内部の事情も見えてきます。クライアントの情報には守秘義務がありますので一切口外はしませんが、各企業の状況をつぶさに見ていると、社風や組織風土、管理体制など、その会社のいいところが見えてくるのです。
私が初めての選挙への出馬を決意したときは、民主党政権でした。当時は、東日本大震災の復興予算の流用が明るみに出て、大きな問題となっていました。公明党には竹谷とし子代表代行と若松謙維参院議員という、公認会計士の先輩議員がいます。当選当初の私は、お二方の指導を仰ぎながら、財政の見える化を政治家としてのライフワークにしようと決めました。
見える化はあくまで手段であり、目的は財政の無駄を省き、必要なところに適切に予算を配分することです。見える化は、その目的を果たすための第一歩となる大切な施策ですので、引き続きさまざまな角度で取り組んでいきたいと思っています。
これからの15年をどう乗り越えるか
前述のとおり、今年ですべての団塊の世代の皆さんが後期高齢者となり、2040年には超高齢社会のピークを迎えます。つまり、ここから15年をどのように乗り越えていくかが、日本政治の大きな課題となります。そこで公明党としては、昨年9月に「2040ビジョン」の中間取りまとめを発表しました。
同ビジョンでは、人々のつながりと支え合いを幾重にも創出し、すべての人の尊厳を守るとともに、それぞれの自己実現に最適な環境を提供できる社会の構築を目指しています。我が党はそうした社会を「創造的福祉社会」と銘打ちました。
具体的な改革構想は、次の五つです。すなわち、①教育のための社会・こどもまんなか社会を築く、②単身者が生きがいを持って人生を全うできる社会を実現する、③若者、高齢者、女性、障がい者 全ての人が輝ける社会を確立する、④全国どこでも命と健康が守られる社会をつくる、⑤地域のつながり・支え合いで人口減少を克服する社会を構築する――。
創造的福祉社会の実現のためのひとつのキーワードとして、私が考えるのは「家族機能の社会化・外部化」です。超高齢社会では、世帯構成が大きく変わってくるはずです。すでに全世帯の4割程度が単身世帯になっており、今後は若者から高齢者まで一人暮らしが多くなることが予想されます。
そのときに、これまで家族が果たしてきた役割や機能を、今度は社会が担わないといけなくなります。日本のどこに住んでいようが、どのような世帯構成であろうが、どんな生活設計を持っていようが、将来に対して不安を抱くことなく、安心できる社会をつくる。「2040ビジョン」には、そうした公明党の思いが詰まっていると思います。
生活者の実感に即したビジョンを描けることが、公明党の強みだと自負しています。超高齢社会や少子化などの人口問題はネガティブに語られがちですが、ピンチこそチャンスと捉えて、よりよい社会の構築に注力していきたいと強く決意しています。
支持拡大に向けて求められる努力
ご承知のとおり、今年の7月には参議院選挙を控えています。じつは、今回の公明党の予定候補者の大半が40代以下となっています。また、党青年委員会からも、多くの議員が改選を迎えます。青年世代の候補者でがっちりとスクラムを組んで、なんとしても参院選を勝ち抜いていきたいと思います。
今般の選挙戦においては、これまでの支持者の皆さまからの信頼にお応えする訴えをしつつも、同時に更さらなる支持拡大に向けた、候補者である私自身の努力が必要だと痛感しています。
昨年に所得税と個人住民税の定額減税が実施された折に、公明党大阪本部のユーチューブアカウントで解説動画を配信しました。じつは、同アカウントの他の動画に比べると、この動画は若者や現役世代を含め多くの人々に視聴していただけました。これからも公明党の理念や中道主義に基づく政策を堂々と訴えていくことはもちろんとして、今後はそれに加えて時宜にかなった有権者の関心に訴えていくことも重要なのだと思います。
いまの若者たちは、政治を冷静に、ある種シビアに判断する人が多い印象をもっています。そうした若者の思いに政策やコンテンツの発信を通してストレートに応えていくことを、今まで以上に取り組んでまいります。
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公明党参議院議員
杉 久武(すぎ・ひさたけ)
1976年大阪府生まれ。創価大学卒業。公認会計士、税理士、行政書士。米国公認会計士試験合格。米国プライスウォーターハウスクーパース会計事務所、あらた監査法人などを経て2013年参議院選挙大阪選挙区で初当選。現在2期目。公明党青年委員長。