プレビューモード

コメから賃上げまで 公明党は「やると言ったら、やり切る!」

米価高騰から賃上げまで暮らしを直撃する課題に、公明党は新スローガン「やると言ったら、やり切る。」で減税・給付、最低賃金1500円、備蓄米放出など五本柱を提示。ネットワーク力で迅速に実行し、家計と産業を守ると訴える。軽減税率5%やソブリン・ウェルス・ファンド創設で恒久財源も確保する構想を示し、実効性で野党との違いを際立たせる。

******

高橋光男議員が尽力 備蓄米のルール変更

 公明党は6月6日に夏の参議院選挙に向けた公約の第2弾を発表しました。掲げた新スローガンは「やると言ったら、やり切る。」です。公約の柱は全部で5つあります。①減税と給付による生活応援、②現役世代の所得を増やす、③社会保障の充実、④安全・安心な日本、⑤国際平和の安定。本稿では、この5つの公約について、ポイントを解説いたします。

 本題に入る前に、いま最も生活者の関心が高い米価高騰への対策について、我が党の基本的な姿勢を申し上げたい。まずはこの1年で約2倍となった米価を落ち着かせることが最優先です。そして来年以降に同様のことが起きないように米の供給体制を見直します。その上で、従来の政府による米政策が適切だったかどうかを、今後のためにしっかりと検証する必要があると考えています。

 スーパーマーケットの棚から米が消えたのは2024年夏のことでした。背景には、前年の酷暑や訪日観光客による需要増などがあり、更には昨年8月に発表された「南海トラフ地震に関連する情報」を受けての買い溜めが需給バランスを崩す決め手となってしまいました。ただし、米は品薄になりましたが、米価の上昇は緩やかでした。

 ちょうどその頃、所管省庁である農林水産省の大臣政務官をしていたのが公明党の高橋光男参議院議員です。高橋議員が注力したのは、政府備蓄米の活用でした。もともと備蓄米は不作や災害のときにのみ放出できるルールとなっており、流通の目詰まりや、価格高騰のときには活用できませんでした。そこで高橋議員は、備蓄米を民間に貸し出す新たな仕組みを提案。このアイデアに基づいて農水省は、審議会で議論を行い、備蓄米の運用に関するルールを変更することになったのです。

 これについては、5月19日の参院予算委員会で石破茂総理が「昨年12月19日の参院農水委員会で、公明党の高橋光男議員から指摘をいただいた。これが備蓄米放出のきっかけになった。大変ありがたい」と述べています。初期の備蓄米放出では残念ながら米価は下がりませんでしたが、もしもあのときにルールが変更されていなければ、小泉進次郎農林水産大臣が就任直後、政策を矢継ぎ早に打ち出したあのスピード感は出せなかったわけです。

 公明党は、米価高騰が収まらない事態となった当初より、高橋議員の取り組みを踏まえつつ、農水部会の部会長である角田秀穂衆議院議員と、農林水産業活性化調査会の谷合正明参議院議員、高橋議員のあとに農水大臣政務官を務めている庄子賢一衆議院議員、そして私の4名を中心とするメンバーで綿密に方策を検討し、折あるごとに農水省に提案してきました。ところが、なかなか具体的な施策に十分に反映されず、歯がゆい思いを抱いていました。

 当初から、私たちがこだわっていたのは備蓄米放出の目的でした。その目的とは、急激な米価の高騰を落ち着かせることです。消費者には複数の選択肢を提供することが重要です。例えば、お買い物で近くのスーパー等にいけば、備蓄米を活用した5kg2000円台のお米もあれば、銘柄米で5kg4000円台のものもある。ブレンドされた5kg3000円台のものもある。その上で、米価全体が押し下げられることを目的に据えたわけです。

 具体的な方策としては、お米を販売する事業者に、①約束した日に②約束した値段で販売を始め③約束した日にちまでに売り切る――という条件を付けることでした。これを実現する手法としては随意契約が適切だと訴えました。

 ある官僚からは、政府が小売価格を決めるというのは独占禁止法に抵触するのではないか、とか随意契約は会計法上の問題があるのではないか、といった指摘がありました。これらの指摘については、私が自ら公正取引委員会や財務省と議論を行い、法的問題がないことを確認しました。

 その上で、やはり大きかったのは、小泉農水相の就任でした。就任のその日に、私からお祝いのメールを送り、そこにこんなことを書きました。私どもがかねて農水省に提案してきたことを実行してもらえれば、必ず市場は落ち着く。ぜひ実行していただきたい――と。すると小泉大臣からすぐに電話がかかってきて、戦略会議の日取りが決まりました。

 角田議員と谷合議員と私の3名で小泉大臣のもとを訪ねたのは、大臣就任の翌々日、5月23日の午前中でした。小泉大臣は、私たちの提案におおむね賛同され、その翌週には、随意契約への転換を始めとした施策を次々に実行されたのです。小売事業者の方々のご尽力により、即座に低価格の備蓄米が店頭販売されましたが、その背景には、こうした経緯があったのです。

 来年度以降に同じことを繰り返さないためには、生産者の方々を大々的に支援することが大切だと考えています。重要なのは、既存の生産者を支援することと、新規就農者が増える産業にすることです。そのためには生産調整からの転換や、規模の経済を生かす大規模化、更にはIT化などが考えられますが、最も重要なのは目標を持つことだと考えています。

 例えば、一定規模以上の水田を運営する米農家の方は、他産業よりも高い年収を得られるようにする。具体的な数字は今後検討するにしても、そうした希望を持てる産業にしていくことが大切です。この点に関しても、小泉大臣に賛同をいただいています。

軽減税率は恒久的な福祉政策として

 ここからは重点政策の解説に入ります。まず、①減税と給付による生活応援――について。減税については、先の国会で課税最低限の103万円を160万円に引き上げたことによって、今年の年末調整等で1人2万円から4万円の還元を実現できます。

 また、燃料費の引き下げにも取り組みます。ガソリンの暫定税率廃止はすでに決まっています。ただ問題は、それを実行するまでには技術的に一定の時間が必要であることです。我が党はそれまでの期間を各種助成でつなぐべきと考えています。すでに5月22日より、ガソリン代の10円引き下げが始まっていますし、7月と8月には更に深掘りします。他にも自動車に関する種々の税金に関して、ユーザー負担を軽減できる施策を検討しています。

 減税については、野党が食料品に関して減税や廃止を訴えていることから、消費税ばかりに世間の衆目が集まっています。一部の野党が主張している1年や2年という期限付きの食料品の消費税率引き下げは、事業者の負担があまりにも大きすぎますし、のちに詳述するように、給付のほうが効果を見込めると考えています。

 そもそも、軽減税率の導入を実現したのは公明党です。軽減税率の導入時に"天下の愚策"と評したある野党は、今になって、この仕組みを活用したいと言っています。私どもは導入時から食料品については5%を目指していました。この数字にはきちんとした根拠があります。軽減税率を導入している主要国と比較したときに、8%という日本の食料品の税率は最も高いからです。

 さらに言えば、軽減税率は経済政策ではなく、福祉政策として導入したものです。ゆえに私たちは一時的な物価対策の文脈ではなく、恒久的な福祉政策として、食料品の税率の引き下げを目指します。

 そのときに、最も重要なのは財源の確保です。恒久財源を税収の上振れ分や赤字国債のみに頼るのはバランスが悪く、将来に不安を残すことになるので、税率をどこまで下げられるかは慎重な検討が必要です。5%まで引き下げるためには1兆8000億円、0%にするためには4兆8000億円の財源が必要になります。なるべく多くの安定財源を確保し、適切な軽減税率へと導いていきたいと考えています。

 一方の給付に関しては、参院選後に政府の総合経済対策を作成する場合、その柱の一つになると考えています。物価高が特に顕著なのは、食料品とエネルギーです。そこで、食料品等にかかわる負担増分や、実質賃金がマイナスの部分などを補う形での還元が重要です。ただし、いざ給付となると、野党から"ばら撒き批判"が止みません。政局だけで政策を語る人たちにはそう見えるのでしょうが、私たちの目指す給付には、先のコンセプトに整合するしっかりとした根拠があります。

 実質賃金は4カ月連続マイナスで、4月の時点でマイナス1.8%となっています。この手当てとしては、先述の課税最低限の引き上げによる2万円から4万円の減税があります。それでも足りていない分などを給付しようというのが私たちの政策です。いわゆる"ばら撒き"にはあたらないと考えています。

 給付の際に重要なことが二つあります。一つは迅速にやること、もう一つは手続きにかかるコストをなるべく抑えることです。そのためにはマイナポイントも一つの選択肢だと私たちは考えています。コロナ禍で一律10万円を給付した際には、事務費用だけで多額の経費が掛かりました。すでにマイナカードと銀行口座が紐づいている人が約6500万人おられるので、その方々にはプッシュ型の口座振込でもよいかもしれません。いずれにしても、給付の方法については今後、政府としっかり詰めていきます。

5年以内に最低賃金を全国平均1500円に

 続いて、②現役世代の所得を増やす――についてです。公明党はこれまで、地方議員と国会議員による"チーム3000"のネットワークをフル活用して、小さな声を政策に反映してきました。その"小さな声を聴く力"をバージョンアップするために、今年3月に新たに始めたのが政策アンケート「We connect」です。

 10万件を超える声のなかで最も多かったのは、やはり物価高対策に関するものでした。その上で、若者世代を中心に多かったのが「奨学金返済の負担を軽減してほしい」との声でした。そこで今般の公約では、公明党が過去に実現してきた奨学金に関する支援策を拡充するとともに、返済額の所得控除等を可能とする「奨学金減税」の仕組みを検討することにしました。

 先述の課税最低限の引き上げや奨学金減税は"手取り"を増やすための重要な政策です。その上で、私たちが同様に大切だと考えているのは"額面"を増やすことです。理由はいたってシンプルで、給与の額面が30万円の人の手取りは30万円以上にはならないからです。一方で、額面を増やせば30万円以上が手取りになる可能性があります。さらに言えば、額面が増えれば年金受給者の受給額も増えます。

 公約では、まずは医療や介護、保育、物流などの業界で働くエッセンシャルワーカーの人たちの所得を抜本的に引き上げることを盛り込みました。その上で、所得を引き上げるための重要な公約を紹介します。

 一つは5年以内に最低賃金を全国平均1500円にすることを目指します。賃金を引き上げることができるのはあくまでその会社の経営者であり、政治が直接的に介入できる賃金上昇の施策は、最低賃金しかありません。

 私は、最低賃金の引き上げには福祉の視点のみならず、経済政策の側面があると考えています。なぜなら、最低賃金が上がることで中間所得層の方々の給与の押し上げ効果が期待できるからです。そうすると、最低賃金引き上げの影響を受ける方は更に増大していきます。

 最低賃金は国が指針を示し、各都道府県が決めるものです。したがって、この政策を推し進める際には、公明党のチーム3000が大いに生かせます。

「見つける」ではなく「育てる」財源を

 もう一つは日本版「ソブリン・ウェルス・ファンド(政府系ファンド)」創設を検討します。「ソブリン・ウェルス・ファンド」の創設の目的は、さまざまな政策の実行に欠かせない財源を「見つける」のではなく「育てる」ことにあります。読者の皆さんは「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」にどのような印象をお持ちでしょうか。漠然と「年金に関してはうまくいっておらず、いずれ破綻するのではないか……」と思われているかもしれません。これは全くの事実誤認で、政治家や行政は周知不足を反省しなければなりません。

 実は、GPIFの過去10年間の運用利回りの平均は6.8%となっており、過去5年で運用資産が103兆円増大しています。世界トップのアセットマネジメント(資産運用)会社と比べても、素晴らしいパフォーマンスです。私はこの経験とノウハウを、年金受給者のみならず、全国民のために生かしていきたいと考えています。その手段としてのソブリン・ウェルス・ファンドの創設なのです。

 世界ではこれまで中東や北欧諸国、シンガポールなどが政府系ファンドを積極的に活用してきました。さらにアメリカも、今年2月にトランプ大統領が大統領令に署名をして、ソブリン・ウェルス・ファンドの創設を準備しているところです。資産運用と聞くと"大きなリスクを取って博打を打つ"というイメージをお持ちの方がいるかもしれませんが、決してそうではありません。あくまでリスクをコントロールしながら日本がすでに持っているノウハウを活用し、果実を生んでいく仕組みなのです。

「やると言ったら、やり切る。」

 ③社会保障の充実、④安全・安心な日本、⑤国際平和の安定――については紙幅の関係でまとめてお伝えします。

 公明党は結党以来"福祉の党"を謳い、福祉政策に力を入れてきました。近年は「子育て応援トータルプラン」を掲げて、妊娠・出産から社会に巣立つまで切れ目のない支援の充実を、着実に進めているところです。その上で、高齢者に対するケアとして今回の公約に掲げたのは年金の給付水準の底上げと、高齢者の就労を後押しするハローワークの機能強化です。

 各地でタウンミーティングに参加していると、シニア世代の方から「週3日だけ働けたり、毎日午前中だけ働けたりするなど、自分のペースでできる仕事があれば、ぜひ働きたい」といった声をよく耳にします。すでに全国約100カ所のハローワークで、自分のペースで働きたい方に伴走してサポートする取り組みが始まっています。非常に評判がよいため、これを全国に展開していきたいと思っています。

 激甚化する自然災害に対応するために、来年から新たに5年間で20兆円強の予算を使って、全国で一斉にインフラを強化していきます。不安定化する国際情勢のなかにおいては"平和の党"として、いま一度、戦争のない世界のための国際秩序の構築と、核兵器のない世界の実現、さらには2030年までの目標であるSDGs(持続可能な開発目標)の加速に取り組んでいきます。

 最近は、我が党のユーチューブチャンネル「公明党のサブチャンネル」が大きな話題を呼んでいます。

 その上で、人気取りのために大風呂敷を広げない。できもしないのに派手なことは言わない。そうした愚直で、地に足のついた政治をやってきたというのは、公明党の最大の強みだと私は考えています。その想いを反映したのが「やると言ったら、やり切る。」という冒頭の新スローガンです。本稿で述べたあらゆる公約も決して無責任な絵空事ではなく、公明党は必ず実現するという決意で臨んでまいります。

 公明党を一言で言い表せば"太陽の党"です。公明党はあまねく人々を照らす太陽のように、政治の温かな光を社会のあらゆる人々に届けてきました。今後も誰一人取り残さず、分断も生まず、血の通った温かな政策を力強く進めていく決意です。

******

衆議院議員、公明党政務調査会長
岡本三成(おかもと・みつなり)
1965年佐賀県生まれ。創価大学卒業後、米国のシティバンクに入社。その後、米国ノースウェスタン大学・ケロッグ経営大学院で経営学修士号を取得し、ゴールドマン・サックスに入社。2012年の衆議院選挙に初当選。現在5期目。外務大臣政務官、財務副大臣、衆議院経済産業委員長などを歴任。