【潮9月号の読みどころ】特別企画ほかオススメ記事
2025/08/05月刊「潮」2025年9月号(8月5日発売)のオススメ記事の読みどころをご紹介します。
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【特別企画】角度を変えて見る「世界」
イスラエル・イラン対立の深層と中東情勢の行方(P.32~)
田中浩一郎(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授)
●イスラエルとアメリカによる今回のイラン攻撃は、国連安保理での手続きを一切経ていない。「これは自衛権に基づく攻撃だ」という建前で、彼らは先制攻撃を正当化した。こんな前例が認められれば、国連憲章の存在意義も国際法の枠組みもまるでなくなってしまう。(中略) 国家存立の基盤に関わるセーフティネットが機能しなくなり、国連憲章と国際法を無視して核保有国による先制攻撃が許される。このような事態は、断じて正当化するわけにはいかない。今は国際社会の法と秩序を守るための正念場だ。国際法による法の支配をもう一度取り戻すため、日本はアメリカに物申さなければならない。それが同盟国の一員である日本の責務だ。(P.37)
【連載】ニッポンの問題点(93)
「310万人の女性」が日本の働き方を変えていく(P.62~)
田原総一朗(ジャーナリスト)VS矢田稚子(前内閣総理大臣補佐官)
●矢田「年収を103万円以下に抑えたい」とか「年収130万円を超えられない」と考える女性が多いのです。
田原 ようするに控除や社会保険料をいろいろ考えて「年収100万円くらいに抑えるのが『お得』だ」「働きすぎると『損』だ」と思っているわけですね。だから、「働きたいけど働けない」。
矢田 そうです。しかし、じつはその「お得」というのは‶思い込み″だったのです。先のプロジェクトチームで試算したところ、「年収の壁」を超えて働いたほうが、生涯の可処分所得が大幅に増えることが明確になりました。(P.64)
【特集】未来へつなぐ「戦争と平和」
【インタビュー】戦争が終わったのは私の17歳の誕生日でした(P.70~)
高橋光子(作家、『ぼくは風船爆弾』著者)
●風船爆弾を作っていたころ、私は「お国のために」と辛い作業に耐え、熱心に頑張っていました。でも今は、その純粋さこそが恐ろしいと感じます。物心ついたときから戦争に巻き込まれ、そのような教育しか受けてこなかった私たちは、誰に強制されたわけでもないのに、知らず知らずのうちに‶軍国少女″になっていたのです。そして、「風船爆弾で500人の死傷者を出した」と聞いて、大喜びした。人の命のかけがえのなさを知っていた、私たちのようなごく普通の人間までもが、そこまで変わってしまう――それが戦争の恐ろしさなのです。知らないうちに、加害者になっている。それが戦争というものです。(P.76)
【連載】第59回 高島礼子の歴史と美を訪ねて
少女たちを「加害者」にした風船爆弾の悲劇。(P.78~)
松村克弥(映画監督)VS 高島礼子(俳優)
●高橋(光子)さんは、『ぼくは風船爆弾』の「あとがき」で、「学校にも工場にも、私たちが動員されて風船爆弾を作っていた記録が、残っていない」ことを知って、「このままでは私たちが働いた事実さえ消えてしまう」と感じた、と書かれています。その一節が、僕の心にも深く突き刺さりました。風船爆弾の秘史を、体験した方々がお元気なうちに映画にすることは、大げさに言えば僕の使命でもあるかな、と思ったんです。(松村)(P.79)
【対談】
箱根から「世界」を狙う人材を!──指導者の喜びと葛藤(P.114~)
榎木和貴(創価大学駅伝部監督)VS神野大地(MABPマーヴェリック監督/プレイングマネージャー、元青山学院大学陸上競技部/三代目「山の神」)
取材/構成・酒井政人(スポーツライター)
●――創価大学の育成力には定評があります。
榎木 高校生の世代トップが集まる青山学院大学と創価大学ではスカウティングに差がありますので、スタート地点は違いますが、選手たちの「絶対に強くなるんだ」という気持ちを切らさないように接しています。
神野 創価大学は間違いなく優勝が近くなっていると思います。僕がいま監督として思うのは、マーヴェリックに送っていただいた選手の自己ベストを一秒でも更新させていくことです。そういう部分から信頼と実績を築き上げて、エース級の選手に来てもらえるようになれば、ニューイヤー駅伝の優勝も見えてくると思います。(P.120)