【潮11月号の読みどころ】特別企画ほかオススメ記事
2025/10/03月刊「潮」2025年11月号(10月3日発売)のオススメ記事の読みどころをご紹介します。
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【特別企画】「閉塞ニッポン」突破せよ!
「中道層」の存在感が、SNSの暴走から健全な社会を守る。(P.32~)
山本龍彦(慶應義塾大学法科大学院教授)VS佐々木俊尚(作家・ジャーナリスト)
佐々木 アメリカやヨーロッパと比べると、日本の政治状況はまだそこまで悪くないと思います。アメリカほど富は集中していませんし、ヨーロッパほど移民による社会不安が大きいわけでもない。中流層や中道は堅実に存在していて、それが安定につながっているんです。(中略)
山本 SNSの現状は決して楽観視できませんが、怒りや煽りに満ちた現状とは違う社会のあり方を求めている人も確実に存在するはずです。実際、いまの大学生と話しているとSNSに「疲れた」という人も少なくありません。(P.39)
若い女性たちはなぜ故郷を去るのか──ジェンダー平等を求めて。(P.48~)
大崎麻子(ジェンダー・スペシャリスト)
女性たちが地方を離れる理由は明確です。働きがいとフェアネス(公平性)がない、性別で役割や評価が決まってしまう、そんな構造に嫌気がさしているのです。そして、結婚や出産によってキャリアが先細りしていく先輩たちの姿を見て、自分の将来にも希望が持てない。家族や地域社会からの「結婚は? 出産は?」という無言の圧力もまた、若年女性の生き方の自由を狭めています。(P.51)
【特集】漂流する民主主義
持続可能な未来を考える(下)──対立や分断を煽る言説は破滅への道。(P.56~)
神野直彦(東京大学名誉教授)VS井手英策(慶應義塾大学教授)
「杜甫は『国破れて山河在り』と詠みました。『敗れて』ではなく『破れて』です。地面に叩きつけられてバラバラになった石に譬えているのです。いま日本はバラバラになり始めています。日本だけでなく、世界や人類の歴史もそうなってきている。それを結びつけるビジョンをどうつくるのかが問われているのです。そのための地図を示すことが私たちの使命であり、それが真理を探究することなのだと思います」(神野)(P.63)
【特別インタビュー】
母・田部井淳子が教えてくれた‶人生″という山登り。(P.108~)
田部井進也(東北の高校生の富士登山プロジェクトリーダー)
母が福島県県民栄誉賞をいただいたときのことですけど、母の生まれ故郷の福島県でパーティーがあったんです。県知事も来るようなちゃんとした会で。当時、僕は中学生だったんですけど、髪は茶色に染めていて、ジーパンを腰穿きして、キャップを後ろ向きに被って、ピアスもつけて行ったんですよね。スケボーを片手に。(中略)パーティーが終わると、母は友人から「どうしてああいう息子を表に出すわけ?」と聞かれたそうなんです。その答えが田部井淳子らしいんですけど、「ポケットに入らないからね。入れれば仕舞いたいんだけれど、入らないから仕方ないの」って言ったらしいんです。(P.110)
※女性として世界で初めてエベレスト登頂に成功した登山家・田部井淳子さんの生涯を基に描いた映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』が、10月31日(金)から全国公開されます。