株式投資の配当金
2023/09/05ushio情報box 潮マネー講座
(『潮』2023年9月号より転載)
株式投資の配当金
現在、日本ではずっと超低金利が続いており、金融機関に預貯金しても、その利子で旅行したり、孫に小遣いをあげるといった楽しみは望めなくなっています。
「いま、手元にあるお金をもう少し生かしたい」と考えている人は、株式投資をして配当金をもらうことも検討してはいかがでしょうか。
配当金とは自社の株を持ってくれる人(株主)に企業が払う分配金です。
株式投資の利益は、株式の売却によって得られる譲渡益と企業から株主に分配される配当金があります。譲渡益は値上がりするまで何年も待つこともありますが、配当金は企業が利益をあげていれば、年二回など定期的にもらえることが魅力です。
定期的にもらえるという点では、毎月、分配金を出すタイプの投資信託もあります。金融機関から勧められて保有している人も多いのではないでしょうか。毎月もらえるのは魅力ですが、分配金について誤解しやすい面があります。投資信託は、利益から分配金を出していると思われがちですが、利益が出ない時期には原資である本体をけずって分配金を出しているケースも多くあります。
その点、株式投資の配当金は得られた利益の中から株主に分配します。利益の状況によっては、配当金が減額されたり、ゼロであったり、逆に増配されることもあります。
配当利回りは企業によって違う
株を持つことでどのくらいの配当金を得られるかは、企業によって異ことなります。
購入した株価に対して1年間でどれだけの配当金が受けられるかを示す数値が「配当利回り」です。預貯金の金利などとも比べることができます。
日本の代表的な企業の配当利回りを見ると、利益から配当金を高めに出す企業もあれば、成長重視で利益を研究開発などの分野にまわす方針の企業もあります(下の図)。ちなみに、日経平均採用銘柄の予想配当利回りは、7月11日時点で1.99%でした。
「株は値下がりしたり、倒産するリスクもあるので怖い」という声をよく聞きます。たしかに、購入するタイミングによっては購入価格より下がった状態がずっと続くことがありますし、稀に倒産する企業もあります。こうしたリスクを懸念して、気軽に株を購入しようと思えない人は多いかもしれません。
高配当株を組み合わせた株も
「配当金には関心があるが、どの企業を選べばよいのかわからない」というときは、「日本株高配当70連動型上場投信」といったタイプの株を購入するのも一つの方法です。
これは、国内上場株式の中から予想配当利回りの高い70銘柄を組み合わせたもの(上場投資信託、ETFとも呼ばれる)です。
金融商品が進化し、少ない金額で高い配当金を出す多くの企業を分散して持てるようになりました。こうした株は、組み込む企業を適宜、入れ替えていくので、購入者はとくに意識することなく、高めの配当を受け続けることができます。
とはいえ、高配当タイプの上場投信もリスクはありますので、一度にたくさん購入せず、数年にわたって何回かに分けて購入するほうがよいでしょう。
来年(2024年1月)から始まる新NISA制度では、これまでよりも使い勝手がよくなり、活用できる金額も大幅に増えます。新NISAの非課税保有限度内で株を持てば、配当金も非課税で受け取ることができます。
配当利回りが高い企業の選び方など、書籍やインターネットでもさまざまな知識や情報を得ることができますので、ぜひ、調べてみてはいかがでしょうか。
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文:北見久美子(きたみ・くみこ)
ファイナンシャル・プランナー&年金アドバイザー