【潮6月号の読みどころ】特別企画ほかオススメ記事
2024/05/02『潮』2024年6月号(5月2日発売)のオススメ記事を、読みどころとともにご紹介いたします。
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【民衆こそ王者――池田大作とその時代〈識者の声〉篇】
映画「人間革命」「続人間革命」に学ぶ仏教の本質(P.146~)
名越康文(精神科医/相愛大学・高野山大学・龍谷大学客員教授)
◆精神科医として著名な名越氏は、「民衆こそ王者」に登場する女性たちの偉大さが印象に残ったと語る。また、学会員が「折伏」という言葉を、使命感をもって掲げ続けることに畏敬の念を感じたという。さらに連載を読むとともに、映像を通して見た池田SGI会長について、相手を包み込むような底抜けの明るさを感じると述べた。
◆映画評論の仕事もされている名越氏は、本連載で取り上げられた映画「人間革命」「続人間革命」を、日本映画史上に燦然と輝く名作であると評価する。中でも、登場人物のやり取りを通して描かれた「十界論」の思想は、〝弱者を見捨てない〟という価値観に直結すると論じた。
◆さらに、映画で描写されたさまざまな〝試練〟を信仰で乗り越えていく場面には、「人間革命」の哲理が脚本に落とし込まれていると名越氏。それは、原作者である池田会長がつかんだ生命論の表れであり、仏教の本質ではないかと語る。また、若い世代が池田会長のこうした思想を受け継ぎ、より一層平和に貢献していくことへの期待を寄せている。
「苦悩の人こそ使命の人」池田会長が示した希望の哲学(P.154~)
藤田孝典(NPO法人ほっとプラス理事/聖学院大学心理福祉学部客員准教授、反貧困ネットワーク埼玉代表)
◆学生時代に同世代のホームレスに出会ったことに衝撃を受け、それを機にNPO法人を立ち上げ、生活困窮者の支援に取り組んできた藤田氏。「民衆こそ王者」を読んで、多様な問題に苦しむ創価学会のメンバーに徹して寄り添い抜く池田SGI会長の励ましに胸を打たれたという。
◆藤田氏は、池田会長の存在を、荒海のような厳しい現実社会を航行する創価学会員にとって「目指すべき人生の灯台」に例える。さらに、その「人生の灯台」が放つ明るさは、池田会長が逝去されてからも変わることはないと語った。
◆続けて、若者の不登校や自殺が問題となる現代において、苦悩する子どもの側に立ち、伴走してきた創価学会員の地道な活動が、自殺を食い止めるセーフティネットとして機能していると論じる。中でも、創価学会の女性部が広げてきた励ましの行動こそが、全国に広がりつつある「子ども食堂」の先駆けではないかと評した。
※6月号では、「民衆こそ王者――池田大作とその時代 道を開く人篇」は休載です。
【特別企画】日本の「長い夜」はいつ明けるのか
公明党が提案した「第三者機関」設置で政治とカネを監視せよ(P.32~)
牧原 出(東京大学先端科学技術研究センター教授)
◆自民党のパーティ券収入裏ガネ問題では、過去5年間の未記載総額が500万円を超える39人のみが処分の対象となったが、おざなりな党内処分では誰も納得しない。岸田首相の判断は粗雑だとしか言いようがない。
◆問題を受けていち早く発表された公明党の「政治改革ビジョン」は注目に値する。特に「政治資金を監督する第三者機関設置」は、今後の政党間協議の軸になるだろう。
◆今国会で新たな政治資金規正法改正の方向性をしっかり示せ。国民が納得しない限り、解散総選挙どころではない。裏ガネ化とは無縁な公明党が、しっかりと自民党にモノ申すべきだ。
気候変動に対する若者の危機感を政治はどう受け止めるのか(P.56~)
小池宏隆(一般社団法人グリーンピース・ジャパンシニア政策渉外担当)&中野洋昌(公明党衆議院議員)
◆3月に国立競技場で開催された「未来アクションフェス」に実行委員会の一員として携わった小池氏は、核廃絶と気候危機問題の解決に向けて若者たちが連帯を示した今回のイベントの意義と感動を語るとともに、気候危機を個人の問題としてのみ考えるのではなく、社会課題として捉えるためにも政治の役割が重要だと指摘。
◆中野氏はその指摘に大きく同意するとともに、2020年に菅義偉首相(当時)が示した「2050年カーボンニュートラル宣言」によって、日本の気候危機対策が大きく前進したと言及。その背景には、連立政権合意の際に公明党が脱炭素社会の構築を強く訴えたことが影響したと語る。
◆小池氏は、国連中心主義を貫いてきた公明党を高く評価し、連立与党として気候危機対策を進めていくよう期待を述べた。それに対して中野氏は、公明党として若者の声を糾合し、気候危機対策の中長期的なビジョンを示していくと応じた。
【特集】世界の最前線から
国際刑事裁判所所長が若者と女性に伝えたいこと(P.64~)
赤根智子(国際刑事裁判所所長)
◆日本人として初めて国際刑事裁判所(以下、ICC)の所長に就任した赤根智子さん。オランダ・ハーグに本部を置くICCは、ジェノサイド(集団殺害犯罪)などの国際的に重大な犯罪を対象に、個人の刑事責任を追及する使命を持っている国際機関である。
◆名古屋市で生まれ育った赤根さんは、女性の大学進学が珍しかった時代に、両親の助言もあって東大法学部に進学する。在学中に司法試験に合格すると、検事として長年検察庁に勤務。転機になったのは、32歳の時に経験した2年間のアメリカ留学という。その後、2018年には日本人で3人目となるICCの裁判官に就任した。
◆ICCでは、想像以上のハードな仕事だけではなく、公用語である英語やフランス語に苦労したという。それでも困難を乗り越えていけるのは、多くの人の励ましと支え、そしてロールモデルの存在があったから。朝ドラ「虎に翼」のモデル・三淵嘉子のように、次の世代の模範になるような仕事をしたいと語った。
【対談】社会学者が見た創価学会の〝強さの源〟とは(P.88~)
開沼 博(社会学者・東京大学大学院准教授)&佐藤 優(作家・元外務省主任分析官)
◆100名以上の創価学会員の話を聞き、長年、参与観察を進めてきた開沼氏。その中で、メディアなどが流布するイメージと違い、創価学会は多様性に富んだ集団であることに気づいた。だが、これだけ巨大な組織がどうしてまとまることができるのか、特に師弟関係についての理解が深められていないと開沼氏は振り返る。
◆佐藤氏は、世界宗教への道を歩む創価学会の優れた点として「テキストによって結びつく」ことを挙げた。特にテキストを通して、日蓮大聖人や池田会長といった師匠の存在に接していくことに注目する。心のなかで池田会長と出会い、触発を受けることで、感化されていく。こうした人格的な交わりが師弟の結びつきとなっていくと佐藤氏は論じた。
◆世俗化した現代社会では、信仰集団は衰退することが多い。そんな中、創価学会が宗教的エネルギーを維持できている理由を、時代の変化に応じて調整を行っているからだと佐藤氏は分析。また開沼氏は、不条理が蔓延する社会では、陰謀論や過激なナショナリズム、カリスマ化などに陥りやすい中で、それらと一線を画している創価学会の内在論理を、メディアや研究者は深く掘り下げるべきだと語る。