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共感疲労のうつ解消&粋ポイント

ushio情報box 生き活き粋に!健康シニア生活
(『潮』2024年4月号より転載。イラスト=白髪エイコ)
 新型コロナパンデミック、ウクライナ戦争、そしてパレスチナ自治区での紛争と、世界の災害や政情不安に関するニュース映像がネットやテレビで報道されています。日本では2024年1月1日に能登半島地震が発生し、多くの犠牲者が出たことや、不便な避難所生活を送る人々の映像を毎日、目にするようになりました。

 社会の動きを知ることは重要ですし、厳しい生活を強いられている人々の存在を気にかけることは大切です。しかし、このような悲しいニュースを繰り返し見ているうちに、被災地で暮らす人と同じような不安や恐怖心を抱き、疲れてしまう「共感疲労」に陥る人が増えているそうです。

 共感疲労は仕事や家庭で介護をしている援助者側の心にも蓄積しやすいといわれています。共感疲労が蓄積すると、前向きな意欲が失われ、うつ的な症状が増えて、自分を責める、仕事を投げ出したくなるなどの「燃え尽き症候群」になってしまうことも……。

①一人で考え込んでしまうことが多い
②涙が流れる
③悲しい気分になる
④寝つきや寝起きが悪い
⑤怒りを感じることが多い
⑥自分を責めることが増えた
などと感じたら要注意です。

 共感疲労を予防するには、スマホやテレビで繰り返し映し出されるつらいニュースなどを必要以上に見すぎないこと。また、介護や子育て中の人は、ずっと一人で抱え込まずに、ときには他の人に代わってもらうなどして、違う環境の中で数時間でも息抜きをするようにしましょう。せっかくの時間なので、「自分だけ楽しんで申し訳ない」などという罪悪感を持たず、気持ちをリフレッシュしましょう。

 悲しみや怒りなどの感情がわき起こってきたら、そのままにせず、深呼吸をして休憩するなど気持ちを落ち着かせて、負の感情を頭から追い出しましょう。怒りや悲しみは、心だけでなく体も緊張させるので、緊張をほぐすためにもラジオ体操やストレッチなどをして短時間でも体を動かすと、心も体もスッキリします。

 つらいことは一人で抱え込まず、家族や心を許せる友人に話を聞いてもらうのも、よい方法です。精神科医や臨床心理士など専門家のカウンセリングを受けてもいいですね。物事を悲観的に考えず、プラス思考で前向き(ポジティブ)に考えましょう。リラックスして幸せを感じる方法を見つけたり、頑張っている自分へご褒美をあげたりすることも大切です。自分を労ってあげましょう。

共感疲労のうつを解消する粋ポイント
 つらいニュースや介護・子育てから解放される時間をつくる
つらい気持ちをだれかに話すことで共感してもらう
深呼吸やストレッチなどで体を動かす
楽観的な思考に切り替える
リラックスして自分を労る

 

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文:宇山惠風(うやま・けいふう)
医療ジャーナリスト

 ※今回の更新をもって「生き活き粋に!健康シニア生活」の潮プラスでの掲載は最終回となります。『潮』本誌の「生き活き粋に!健康シニア生活」はこれまで通り継続しますので、誌面でお楽しみください。

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