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もっと気軽に! 青梅ハーブ農家便り

日本の青梅でフローリストファーマーとしてハーブや野菜を育てている奥薗和子さん。フローリストマイスター(生花に関するドイツの国家資格)の資格も持つ奥薗さんと一緒に、ハーブの楽しみ方を知っていきましょう
(月刊『パンプキン』6月号より転載。撮影=落合里美 取材・文=山本裕美)

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淹れたてのハーブティーの爽やかな香りが空間を満たし、友人との会話も弾みます。ブレンドされたローズマリーには血流をよくする働きも。

ドイツから帰国し、フローリストから農家へ

 東京・青梅市でハーブや野菜、草花を2019年4月から有機農法で育てている奥薗和子さん。6月ごろの初夏の農園では、白いパクチーの小花などが咲き美しい景色が広がります。前職はフローリストマイスター(生花に関するドイツの国家資格)で、2002年から2014年まで12年間ドイツに滞在し、ベルリンの人気花店などで働いていました。その経験も生かして、現在はフローリストファーマーとして活動されています。

「フローリストと聞くと、市場で仕入れた切り花を扱うイメージが強いと思いますが、私の場合は、好きなハーブや草花、野菜の種を蒔いて育てて収穫して、食用にも花束やアレンジにも活用しています。種から収穫までの過程を知ることで、以前にも増して植物に対して敬意をもち、最後まで大事に丁寧に扱いたいと感じるようになりました」

 農家に転身するため、奥薗さんはドイツから帰国後、農業研修を経て独立。有機農法という、より自然に沿った栽培方法を選んだのは、ドイツでの体験が大きかったようです。

「ドイツでは近郊の農家さんが育てたハーブや季節の野菜をよく買っていました。それが本当においしくて。素材そのものがおいしいと知ったのは、ドイツに行ってからです。さらにこの栽培方法なら、食卓に飾ったハーブや花を食べることもできるし、花束に顔をうずめて香りを存分に楽しむこともできます」

 

ドイツで知ったハーブの奥深さに日常で親しむ

 最後に、ハーブの連載を始めるにあたって、読者の方へのメッセージを伺いました。

「ドイツで暮らした12年間、ハーブはとても身近な存在でした。私たち日本人が、あさつきやしそなどの薬味になじみがあるように、ドイツをはじめヨーロッパの人たちにとって、ハーブは古くから親しんできた植物です。

 ジャガイモにはローズマリーを、サーモンにはディルを合わせるなど、定番の使い方を知ることがハーブと仲よくなる近道のように感じます。ドイツで体験したこと、農家になって試したことなど、私が四季折々に実践しているハーブの活用法をご提案したいと思います。

 連載をご覧いただいて、ハーブティーを飲んでみたいなとか、ハーブを使った料理を作ってみようかなとか感じてもらえたらうれしいです。暮らしの中で、一緒にハーブを楽しんでいきましょう」

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フローリストファーマー
奥薗和子(おくぞの・かずこ)
東京都青梅市に2019年4月「lalafarmtable」を開園。ハーブ、伝統&西洋野菜、草花を有機農法で栽培し、産地直送の定期便にて消費者に販売するほか、ファーマーズマーケットなどにも出店。雑誌やイベントなどでも活動中。
https://lala.farm/

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