プレビューモード

サブスク

ushio情報box 潮マネー講座
(『潮』2023年11月号より転載)

 

 最近、さまざまなサービスで「サブスク」(サブスクリプション)が導入されています。サブスクという言葉には馴染みがないかもしれませんが、「〜放題」と聞くと「あぁ、あれか」と思う人もいるのではないでしょうか。
 サブスクとは、一定額を月ごと(あるいは年ごと)に支払うことで、解約するまでそのサービスを利用できるというものです。
 最も利用者が多いのは動画配信サービスで、映画やドラマの見放題などがあります。音楽配信サービスや本・雑誌・マンガの定期購読なども利用者が多いようです。ほかにも健康・医療などの専門家による相談、衣服や家電のレンタル、学習教材や飲食店など、いろいろな分野に広がっています。
 サブスクは、よく利用する人にとっては便利でお得だと思います。
 一方で、全国の消費生活センターにはサブスク関連の相談が毎月500件程度、寄せられています。店舗での契約もありますが、多いのがインターネット上での申し込みです。

 

解約できないまま支払い続けることも

 相談事例の中には、インターネット上で契約したアプリの利用などで、無料のお試し期間が経過したあと、解約せずに数カ月間、電話料金と一緒に支払いが続いていたものもあります。
アプリを削除したり、アプリを入れたスマホを機種変更したことで解約できたと勘違いしていた人も少なくないようです。
 また、解約したくても、解約の仕方がわからず、支払いを続けていたケースもあります。
 店舗で契約した場合、解約に出向けば済むのですが、インターネット上での契約ではスマホやパソコンの操作に手間取り、なかなか解約の画面にたどりつけないことがあります。そもそもサービスの画面に入るためのIDやパスワードがわからなくなったという人もいます。事業者の電話番号が表示されていないこともありますので、これらを忘れてしまうと、解約するのは容易ではありません。
 利用料が引き落とされるクレジットカードを退会したことで、解約できたと思っていたら、あとから請求されたというケースもあります。サブスクそのものの解約をしなければ、いつまでも支払いは続くということを知っておきましょう。

 

 

気軽に申し込めるが解約は難しい

 申し込みは簡単で迷うことはありません。しかし、解約は簡単ではないと心得てください。
 こうしたサブスクのトラブルが少なくないため、昨年6月には特定商取引法が改正され、解約方法をわかりやすく表示することなどが努力義務となりました。利用を開始する前に事業社名やサービス内容をよく確認し、申し込む前に、無料・割引期間や解約方法を理解しましょう。
 登録したIDやパスワードは、わからなくならないようにメモしておくことやスマホ画面のスクリーンショットを撮っておくことをおすすめします。
 契約が続いていることに気がつかないこともあるので、支払いに使っているクレジットカードの明細は定期的に確認するようにしましょう。
 サブスクの解約は、原則として本人でないとできません。サブスクを利用していた人が亡くなったり、意思の疎通ができなくなると、解約のために家族が苦労することもあるでしょう。
 万が一の場合に備えて、サブスクを利用しているサービスはノートなどに書き留め、IDやパスワードとともにわかるようにしておくことも大切です。

 

******
文:北見久美子(きたみ・くみこ)
ファイナンシャル・プランナー&年金アドバイザー

こちらの記事も読まれています