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眠りの悩み&粋ポイント

ushio情報box 【新連載】生き活き粋に!健康シニア生活
(『潮』2024年1月号より転載。イラスト=白髪エイコ)

 

日本人は睡眠時間が短い


 世界で最も睡眠時間が短いのは日本人です。さらに年齢を重ねると、寝つきが悪くなり、せっかく寝たのにトイレで何度も目が覚めたり、日の出前から目が覚めたり、それなのに昼間の眠気がひどく頭がボーッとしたり、眠りの悩みが増える一方です。

 睡眠不足は、心血管疾患、うつ病、糖尿病、高血圧、および全体的な死亡率の増加と関連していることが知られています。それ以外にも最近の米国カリフォルニア大学の研究によると、睡眠不足は人を利己的にして他人を助けたいという気持ちや寛大さを低下させることが明らかになっています。

 また、英国マンチェスター大学の研究では、睡眠時間が短いと体内に異常なコラーゲン繊維が発生したり、古いコラーゲン繊維が蓄積して、皮膚にシミやしわ、たるみなどの老化が発生したり、骨や軟骨の痛みや病気を発症したり、血管の伸縮性が低下して、高血圧や動脈硬化のリスクが高まることが明らかに……。

 米国メイヨークリニックの研究では、睡眠不足が腹部の内臓脂肪を増やし、生活習慣病や肥満のリスクが高まることがわかりました。

 このように美容、ココロ、健康まで「百害あって一利なし」の睡眠不足を撃退するための秘訣は?

 

よりよい眠りは生活習慣から

 米国カリフォルニア大学の研究で、寝ている間に香りの刺激があると高齢者の記憶力が改善することがわかりました。また、30分以下の短い昼寝が最も認知機能にいい影響を与え、一日の中で早い時間帯に昼寝をすると夜間の睡眠の妨げにならないことがわかっています。さらに、不健康な食事(飽和脂肪酸・砂糖の割合が高く、食物繊維が少ない食事)が睡眠の質を低下させることが、スウェーデンのウプサラ大学の研究で明らかになっています。

 米国ノースウエスタン大学の研究によると、薄暗い部屋で寝るのと比較して、光にさらされた状態で睡眠をとると、睡眠中の心臓血管機能が悪化し、翌朝のインスリン抵抗性が増加することが明らかになりました。

 スウェーデンのカロリンスカ研究所によると、ある程度の重さの布団をかけたほうが熟睡できることも報告されています。寝る90分前に40度~43度程度のお風呂・シャワーに入ると眠りやすくなることが、米国テキサス大学の研究で明らかになっています。

 以上のような研究成果を参考にして、自分に合う方法を見つけましょう。もちろん、すべて取り入れる必要はありません。

 ちなみに私は、朝食、昼食をたっぷり食べて夕食は軽め、お酒・スマホやPC(パソコン)は就寝3時間前までに終了、怖い映画や暴力的なドラマは寝る前に観ない、お風呂でストレッチとマッサージをして、リラックスできる動物や自然の映像を見る、サンダルウッドのアロマを使い、暗い部屋で眠り、朝、目覚めたらパッとカーテンを開けてスタート、という眠る前後の粋ポイントを10年以上、続けています。

 

 眠りの粋ポイント

 リラックスできる方法を探す
ストレスを感じることはやらない
自分が眠りやすい香りを探してみる
暗い部屋で眠り、明るい光で目覚める
眠る3時間前に食事は終了し、暴飲・暴食は厳禁
適度な運動、ストレッチとリラックス入浴
使っている布団や枕を見直してみる

 

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文:宇山惠風(うやま・けいふう)
医療ジャーナリスト

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