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お金の貯め方・増やし方

ushio情報box 潮マネー講座
(『潮』2024年3月号より転載。イラスト=櫻井通史)

 

 新年度が近づいてきました。お子さんの進学や独立、転勤や部署異動、定年退職を控えた人もいるでしょう。
 このように暮らし方の変化があると、「学費が予想以上にかかり、自分たちの老後資金が心配だ」とか「預貯金額を知って愕然とした。今後、どう貯めればよいのか」など、いまの貯蓄残高に不安を感じることもあると思います。
 お金を貯めていくために、まずやるべきなのが、家計状況の把握です。貯めるためには、いまよりも支出を減らすしかありません。しかし、「1カ月でいくら使っているのか」を漠然としかわかっていない人も少なくありません。

 

家計の「見える化」で節約ポイントを見つける

 お金を貯めるための第一歩は「見える化」をすることです。家計の内容を把握し、常態として「何に、いくら使っているか」の内容と金額を目で見て確認し、自分で見直すポイントを見つける作業が必要です。
 家計簿をつけている家庭は少なくなっていますが、家計の見える化をするには、3カ月でも家計簿をつけてみることをおすすめします。
 最近は、スマホでラクに記録できるアプリもいくつかあります。上級編にはなりますが、クレジットカードや電子マネーをアプリに登録すると、決済した記録が自動で取り込まれ、自分で入力しなくても費目ごとに自動集計してくれるものもあります。
 お金の使い方は、各家庭で特徴があります。外食費が多かったり、水道・光熱費がかさんでいたりする家庭もあります。いくつもの生命保険に加入して高額の生命保険料を支払っている家庭や、「便利だから」という理由で複数台の自家用車を所有している家庭もあります。
 家計簿をつけていくと、支出の比重が高い費目に気がつき、意識を変えれば、もっと減らせる費目が見えてくるでしょう。日々の食費など細かい節約も大事ですが、支出額の大きいものから思い切って減らすことができれば、貯蓄のスピードアップにつながります。

 

積立を開始し継続して元金づくりを

 お金を貯めるための次のステップは、積立の自動貯蓄を開始し、継続することです。「月末に余ったら貯めよう」という考えでは、いつまでも貯まらないものです。
 定期的に定額が貯蓄にまわる積立貯蓄は「貯蓄の王道」と呼ばれており、いろいろな種類があります(213ページの図参照)。一度、積立契約をしておけば、口座から毎月、自動的に貯蓄にまわるので、知らず知らずのうちに貯まっていきます。
 いまは低金利なので、積立をしていてもわずかな利子しかつきませんが、利子よりも口座に元金が貯まっていくことが重要です。ある程度の金額が貯まったら、運用にまわすことも検討できます。
 銀行の自動積立預金のように元本が割れることのない積立は安心ですが、差し当たって使う予定のない余裕資金があれば、新NISAを利用して可能な額で投資や運用を始めてもよいでしょう。世界中にお金を分散投資できる、資産づくりに適した積立商品の取り扱いがあります。
 会社員の場合、確定拠出年金や財形貯蓄、社内預金などの積立がありますし、自営業の場合は、確定拠出年金のほか、国民年金基金や小規模企業共済などの自動積立商品の利用が可能です。家計を把握し、「このくらいだったら無理なく積立できる」という金額から始めましょう。
積立額は見直しができます。積立額が多すぎて家計が苦しくなるようなら、金額を変更します。
 少額でも積立を継続することで、残高が増えていきます。同時に「貯蓄を増やすために、いまできることをやっている」という心の拠りどころにもなると思います。


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文:北見久美子(きたみ・くみこ)
ファイナンシャル・プランナー&年金アドバイザー

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