かゆみ解消&粋ポイント
2024/03/05ushio情報box 生き活き粋に!健康シニア生活
(『潮』2024年3月号より転載。イラスト=白髪エイコ)
かゆみがかゆみを引き起こす
乾燥、花粉、紫外線、衣類やリネンによる摩擦は表皮のバリア機能を低下させ、細菌やウイルス、花粉などが肌の内部に侵入しやすくします。かゆみは侵入した異物を排除しようとするサインですが、掻いてしまうと肌のバリア機能はさらに低下して、かゆみがかゆみを引き起こします。かゆみを我慢するのは意外に難しいことですが、悪化しないようになるべく我慢するとともに、かゆみの原因を突き止めて原因を取り除くことが重要です。
肌のかゆみの原因はいろいろ
肌のかゆみの原因は、①自分の汗の成分による刺激 ②花粉などのアレルギーを起こす物質 ③乾燥や寒さ ④紫外線 ⑤衣類やゴムなどの刺激 ⑥洗いすぎによるバリア機能の低下 ⑦加齢 ⑧ホルモンバランスの変化 ⑨喫煙 ⑩睡眠不足 ⑪過度なストレス ⑫栄養不足 ⑬その他の病気などさまざまですが、思い当たることを見つけて、それを解消するよう心がけましょう。①~⑫の原因が思い当たらない、原因が解消してもかゆみが治らない場合は、皮膚科に相談しましょう。
かゆみを我慢せずに掻くと、ヒスタミンなどの物質が放出されてさらにかゆみが強くなります。爪や指でバリア機能が低下した肌は細菌が侵入しやすくなります。こうならないためにも、まず手ぬぐいやガーゼなどを冷水で濡らしたものや、アイスパック(保冷剤)で皮膚を冷やすと10分くらいでかゆみが和(やわ)らぎます。
米国ノースウェスタン大学の研究によると、かゆい部分以外のどこかを指圧することで湿疹のかゆみが軽減されるということです。 深呼吸や瞑想をして、かゆいという感情を手放すこともよい方法です。また、手袋をする、編み物やパソコンなどの手作業に集中する、かゆみを感じたら指の運動をするなどして手が忙しく、使えない状態にしておきましょう。
かゆみは健康の黄色信号
肌の洗いすぎやせっけんの使いすぎなどによるバリア機能の低下を改善するためには、入浴習慣の見直しも重要です。ぬるめのお風呂にゆっくりつかることや、ボディタオルを使わずに少量の石けんをしっかり泡立てて、肌の表面を泡で包み込むようにして洗いましょう。アルコール消毒剤にはヒアルロン酸などの肌のバリア機能を保つ成分が含まれているものもありますが、アルコールは肌の表面を乾燥させるため、多用しないように注意しましょう。
また、油分や保湿成分を多く含んだクリームなどを適量使用して洗い上がりの肌を保護するようにします。前述のように過度のストレスや睡眠不足、食生活の乱れも肌のバリア機能を低下させ、かゆみを引き起こします。
このようにかゆみは全身の健康バランスが崩れているサインですので、我慢せず、無視せずに、原因を考えて生活を見直しましょう。
かゆみから肌を守る粋ポイント
かゆみの原因を探す |
肌の保清・保湿を心がける |
肌を掻かずに冷やす |
肌にやさしい衣類・リネンを選ぶ |
洗いすぎ、石けん、保湿剤の使いすぎに注意 |
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文:宇山惠風(うやま・けいふう)
医療ジャーナリスト