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連立離脱に見る歴史の断層――公明党の決断の真意

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新連載「平成の回廊――創価学会と日本社会」では、『平成史』(文藝春秋刊)の著者・與那覇潤氏(評論家)が創価学会の平成史を追う。奇しくも連載が始まる令和の今、平成の前半から続いた自公政権が突然の終幕を迎えた。両者を切り裂いた断層を読み解くと、ステレオタイプでは見えない創価学会・公明党の「歴史の物語」が浮かび上がる。

(月刊『潮』2026年2月号より転載)

記事のポイント
連立離脱の“決定的瞬間”の裏側にある、意外な判断基準
創価学会における「五五年体制」の文脈とは
分断を生み出す“物語の衝突”を超える視座

総裁選前からあった公明党の危機感


「あるわけがないですよ」 破顔一笑して答えるのは、創価学会事務総長の谷川佳樹たにがわよしき。2025年の11月5日、前月に日本中を揺るがした大ニュースへの関与を、尋ねた私の前で大きく笑う。 幕切れは突然だった。10月10日の党首会談の後、公明党の斉藤鉄夫さいとうてつお代表が政権からの離脱を発表。 1999年10月に連立入りして以来、野党時代も含めて26年にわたる自民党との提携が、終わった。 斉藤の表情にもこわばりが見えたが、高市早苗たかいちさなえ・自民党総裁の顔つきは会談の前後で一変した。持ち前の笑みが消え、想定外の惨事にあった人に特有の「うつ的」な形相で、納得しかねる旨を取材陣に語った。 公明党は、創価学会が支える宗教政党として知られる。だからこうなると、離脱の決定への学会の関与が、憶測でメディアを賑わす。 創価学会会長の原田稔はらだみのると、SGI(創価学会インタナショナル)理事長でもある谷川は、10月7日に米国はじめ海外の会員を励ます旅に出ている。学会のトップである彼らは、4日の高市総裁選出を見て離脱の結論を下し、公明党に命じてから発ったはずだ――。 そんな「学会批判」の報道の真偽を訊いたのだが、よくあるステレオタイプだねという反応だった。谷川が続ける。

「そう言う人は、学会と党の関係がどんなものか、基本をわかっていないんでしょう。多くの政党では『政治家になりたい人』が、公募等を経て出馬しますが、公明党の議員はそうじゃない。まず学会員としての日々の活動があり、その中から『あの人は向いているんじゃないか』と、周りの会員に推されて選挙に出るわけです。


本人にとって、政治家になること自体は目的ではなく、社会に恥じない成果を出して、仲間の期待に応える手段。さらには同居する家族や、集会に集まる支持者も学会員であることが多い。彼らは年中、会員の声を直に聞いていて、学会の幹部が『伝えて動く』といった関係ではないんですよ。


2024年から衆院選・都議選・参院選と、公明党は連敗。とくに衆院選では、裏金問題を理由に自民党が非公認とした候補にまで、公明党が推薦を出したことで、会員の中から『今回は応援できない!』という声が出ていました。滅多に起きないことです。


これは自民党にカネの扱いを改めさせるか、でなければ自民と離れなければ、投票してもらえないと。総裁選の前から公明党に危機感があったのは、自然なことではないですか」


たしかに学会の外の国民にとって、意外だったのは連立離脱の「理由」だった。自民党でも最右派と呼ばれる高市の政権には、協力しかねるというなら、わかりやすい。実際に高市も斉藤らとの協議では、「総裁が私でなかったら」対応は違ったのかと訊いたという。


公明側は「誰が選ばれていても同じだ」と回答し、もっぱら政治資金の問題を理由に挙げた。10月7日に行われた予備会談でも、靖国神社参拝や在日外国人の問題では認識を共有できており、連立合意の持ち越しは「政治とカネ」が原因だったと報じられた。


だが文字どおりにとる人は、多くない。裏金問題は口実で、本音では高市の思想を嫌ったものかと、つい勘ぐってしまう。


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