新聞各紙で話題となったニュースから、『潮』独自の視点で4つのテーマを厳選!
各紙の内容を"ななめ読み"し、論点や今後の展望を論じていく。
※『潮』2026年9月号掲載の「新聞クリッパー」から転載いたしました。
中傷動画問題で首相が答弁から逃げたまま
異例の特別国会は一週間の会期延長へ
今年の通常(特別)国会は1月の冒頭解散で始まり、中道改革連合の結成、高市自民党の圧勝と異例の形でスタート。一般会計予算の年度内成立を果たせないまま、後半国会へ突入した。
『週刊文春』が4月から開始した高市陣営の中傷動画問題キャンペーンが国会に"飛び火"。6月4日、衆院予算委員会で事前通告の上、事実関係を確認する質問をした中道の伊佐進一議員に対し、高市首相は「通告を見たのが当日午前3時半だった」「文春の有料会員になろうとは思わず、(音声を)確認できなかった」(6月7日付毎日社説)など、曖昧な答弁を繰り返した。
一方で伊佐議員は高市シンパからSNS上で"袋叩き"の対象にされ、同党の岡本三成政調会長が「伊佐さん大丈夫?」とSNS上で公然と心配する事態に。日経社説は「今回の動画作成の依頼が事実であるとすれば、首相の倫理観や道義的責任が問われる」(6月11日付)と主張。同22日の衆院予算委員会で首相は、自身の公設秘書の「陳述書」を後日提出することで答弁に代える旨の変則的な主張を繰り返す。
自民と維新は連立合意に基づき衆院定数削減法案を提出。全野党が"審議拒否"の状態となり、6月26日から10日以上国会が止まった。
初の「皇室典範」改正で
女性皇族が結婚後も皇室に残れるように
5月半ばから7月半ばまでの2カ月間、最も数多く扱われた社説は「皇室典範」改正問題。全国紙5紙だけで計約40本掲載された。
最も多い10本の朝日は政府案に「全13党派中、6党派が慎重・反対の立場を示した」(6月12日付社説)と強調。"立法府の総意"について唯一の推進派・産経は、「自民党、日本維新の会、国民民主党、中道改革連合、参政党、公明党、チームみらいの7党派が賛同した」(6月11日付社説)と、逆の観点から主張した。
皇室典範改正は、女性皇族が結婚後も皇室に残れるように変更するとともに、旧皇族(旧11宮家)の15歳以上の未婚の男系男子を養子に迎えることで皇室数を拡大するのが狙い。保守系とされてきた読売が、早くから社説で「男系男子の伝統を守る、といった姿勢に固執するあまり、皇統の断絶を招いては本末転倒」「与野党は、皇統の存続を最優先に考えるべき」(5月17日付)と主張し、「象徴天皇制の根本を変えかねない法改正」(7月1日付)と警鐘を鳴らした。だが7月17日参院で成立する(立憲民主党は修正案を提出、否決された後に反対へ)。
他にも内心の自由に踏み込む"違憲立法"と複数の国会参考人が指摘した国旗損壊処罰法が自維国参で可決。病歴、犯罪歴を本人の同意なく外部提供できる改正個人情報保護法や、石破前首相肝の防災庁設置法、選挙時の虚偽宣伝を規制するための選挙SNS対策法も。
冤罪防止の観点からの再審法(刑事訴訟法)改正も成立した。最後に残ったのが、維新が"センターピン"と称する「副首都」法案(「東京圏で大規模災害が起きた際に首都機能を代替する副首都を指定する内容」7月15日付日経)だが、衆院では参考人質疑も行わない雑な審議が続いた。野党が問題視した衆院定数削減法案は、比例定数45議席削減の懸念を孕んだまま、秋の臨時国会へ引き継がれる形だ。
7月下旬、円はついに「39年半ぶり」(7月22日付朝日)に1ドル=163円台へ突入。200円台を想定する識者も見られる中、円安に伴う物価高傾向が止まらないまま、「上半期倒産、12年ぶり5000件超」(7月8日共同)と、高市政権の無策ぶりが際立っている。
