• 社会

9月のニュース・レビュー

新聞各紙で話題となったニュースから、『潮』独自の視点で4つのテーマを厳選!

各紙の内容を"ななめ読み"し、論点や今後の展望を論じていく。


※『潮』2026年10月号掲載の「新聞クリッパー」から転載いたしました。

靖國神社公式参拝を見送った高市首相

武道館駐車場から「遙拝」

2024年(前々回)の自民党総裁選でやすくに参拝を明言していた高市早苗首相は、就任後初の"終戦記念日"を迎えたものの、今回は外交的配慮から見送った。代わりに自民党三役(鈴木俊幹事長、有村治子総務会長、西村康稔選対委員長)がまとまって参拝(小林鷹之政調会長は地元千葉の豪雨被害対応で急きょ欠席、翌朝単独で参拝)。「党幹部の個別参拝は過去にもあったが、そろって参拝するのは異例」(8月16日付毎日)。閣僚では4大臣が参拝した。 高市首相は、自身の支持基盤である「岩盤保守層」からのブーイングを恐れたのか、靖国通りを挟んで至近距離にある日本武道館で開催された全国戦没者追悼式に出席する直前、「約200メートル離れた」(16日付読売)武道館の駐車場で突然車を降り、靖國神社の方角に向かって「二拝二拍子一拝」で遙拝を行う異例の行動。「近くに同行記者がいる中での祈りだった」(16日付毎日)。 一方、全国戦没者追悼式の首相式辞からは「『反省』の文字が消えた」(16日付朝日社説)。さらに「戦争を繰り返さない」という通例のフレーズに1文字付け足し、「繰り返させない」に変更したことがニュースになる。 東京新聞は「歴代首相が使ってきた『繰り返さない』は、自国が主体的に行動を抑制する意味合いを持つが、『繰り返さない』は他国の行動を抑え込むニュアンスを帯びる」(16日付)と解説。 他方、さらなる物議を醸したのが小泉防衛相。防衛大臣としては木原官房長官以来2人目となる終戦記念日の参拝を行っただけでなく、それに先立つ7月17日配信の櫻井よしこ氏主宰のインターネット番組「言論テレビ」に出演。核兵器に関する議論の必要性について「触れざるを得ない」と発言。実際、高市首相も8月6日、広島での平和式典で非核三原則の「将来的堅持」を明言しなかった(7日付読売)。 年末には安保三文書の改定を控え、三原則の見直しがささやかれる中、平和国家としての80年を超える歩みを変更する機会につながらないか、関係者の憂慮がつづく。

プーチン大統領の電撃「択捉島」訪問

露中北の連携強化が懸念材料に

そんな中の8月13日、突然飛び込んできたのがプーチン大統領による初の北方領土訪問のニュースだった。過去にも民主党政権下の2010年11月、時のメドベージェフ大統領が国後くなしり島を訪問し、日本側が駐ロシア大使を召還したことがある。 翌14日付の各紙は社説で「日本の国民感情を逆なでする行動」(毎日)、「対ロ制裁を続ける日本を強く牽制する意図」(朝日)、「ソ連時代の侵略を思い起こさせる」(読売)、「実効支配を誇示する動き」(日経)と反発。 さらに「日本は動じることなく制裁を継続し、ウクライナ支援を強化する必要」(毎日)、「日本は対ロ制裁を緩めてはいけない」(朝日)、「制裁強化や駐露大使の召還が必要」(産経)、「揺さぶりに動じることなく、毅然と対処する必要」(読売)、「厳しく対応すべき」(日経)と、5つの全国紙がそろって厳しい対応を訴えた。 一方でロシア外務省は同日、日本政府の抗議に対し「厚かましい」「容認できない」と非難する声明を発表(15日付産経)。他方、中国も昨年末から日本を「新型軍国主義」と批判の動きを強め、その動きを「明確に支持しているのはロシアと北朝鮮」(8月2日付産経)とされる。

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