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「右傾化」に走る同世代に私が語るべきこと【平和をつなぐ次世代の語り手たち】

  • 潮

若者の政治参加に取り組む社会活動家・秀島知永子さんが、同世代の「右傾化」や排外主義に対する危機感とともに、戦争反対のメッセージを世に発信し続ける思いを語ります。秀島さんは、地元・荒川区での子ども食堂づくりを構想中。政治や社会をめぐる大きな流れに葛藤しながらも、身近な地域から平和への一歩を踏み出そうとする姿に注目です。

(月刊『潮』2026年9月号より転載)

「戦争反対」を発信し続ける理由

私は高校時代、夏のプールの授業が必修で、しかも男女一緒に行うことに疑問を感じて声を上げたことをきっかけに、政治にかかわる活動を始めました。

 

そして、教員の労働環境改善や私立高校無償化などを巡って、署名活動やロビイングを行い、国会に行ったり、政治家に会って政策提言をしたりしました。それらのことは「大人たちは若者の声を聞いてくれる」と感じる成功体験になりました。

 

大学に進んでからは超党派の若者団体である「一般社団法人日本若者協議会」の活動を始め、若者の政治参加に関するイベント運営をしたり、地元の荒川区(東京)でさまざまな課題解決に取り組んだりしています。

いまはまだ私に被選挙権(市区町村議会なら「25歳以上」)はありませんが、将来は政治家となって仕事をすることを目標にしています。

 

そのように説明すると、いかにも「左翼的」な若者のように思われるかもしれませんが、実は私は高校時代にはかなり自民党寄りだったのです。

 

そんな私が考えを改めたのは、いまの高市(早苗)政権に対する疑問からです。排外主義的政策を推し進め、軍備増強を目指す右翼的なあり方に、危機感を覚えています。特に、今年2月に解散総選挙を強行し、それで記録的大勝を遂げてからは、党内から高市首相に批判的なことが言えなくなってしまったと感じ、「自民党じゃダメじゃん!」と強く思いました。

 

そしていまは、SNSで高市政権批判や戦争反対の論陣を張っています。昔からの友人の中にはそのことで離れていった人もいますが、批判覚悟でいまのポジションを貫こうと決意しています。

 

私は、高市政権が進めているいまの流れは変えられそうにないと、半ばあきらめていますが、たとえ流れは変えられなくても、反対する人がいることに意味があると思っています。反対の声がなければ、この流れがどんどん加速してしまうでしょう。

 

もっとも、私は過去に作った自民党議員さんとの関係を完全に断ち切ることはできません。SNSでの発信を続けているのは、そのような中で「いまの自分にできること」だからです。

同世代の若者たちに感じる「ギャップ」

「いまの流れは変えられないと半ばあきらめている」と言いましたが、そう思うようになったのは、周囲の知人に、高市政権のやっていることを「是」として受け入れている人、権力寄りの発想になっている人が多いからです。


たとえば、私は高校時代からスタートアップやベンチャー企業の関係者とのつきあいが盛んで、リスペクトしていた人も少なくないのですが、あの界隈の人たちに、いまは高市政権支持の人がすごく目立つのです。


それは、権力にすり寄ったほうが事業面でも有利だからかもしれないし、反体制的な発信をすることはリスクになるという判断なのかもしれません。そういう判断も、ある程度は理解できます。でも、もしも戦争が起きてしまったら、そんなちっぽけな優位性はたちまち吹っ飛んでしまうでしょう。平和という大前提があってこその事業の発展なのですから……。


スタートアップ界隈に限らず、いまの若者層の政治的関心は、外国人排斥などの歪んだナショナリズム的価値観に偏りがちです。それは、物心ついたころから日本が経済的に衰退していた世代ゆえかもしれませんが、巷間でよく言われる「若者の右傾化」を、私は肌で感じています。戦前・戦中の日本のように、いまは世論のマジョリティが右翼的価値観の人になってしまっている。特に、XなどのSNSにはその傾向が如実に表れています。


SNSだけならまだしも、私が直接に接する若者たち――その多くは、高学歴であったり、仕事で海外を飛び回っていたりする人たち――が、驚くほど排外主義的になり、不寛容になっていることを感じます。


戦後の高学歴者たちは、たくさん勉強したからこそ反権力やリベラル的な方向に行くという傾向があったと思うんです。それが反転して、「いまどきの高学歴は、こんなに権力寄りな考え方をするんだ!?」と、話していて驚くことが多いのです。


たぶん、いまの高学歴者は親の年収も高い子が多くて、だからこそ若くても体制迎合的になるという、いわば「世代的な構造」ができてしまっているのでしょう。


「平和を目指しての一歩」を、地元から

何が問題なのかを考えてみると、まず、日本には政治の話、あるいは戦争や平和といった重たいテーマの議論自体をタブー視する傾向が強すぎると思います。


私の海外の友人たちは、特に政治に強い関心がなかったとしても、政治について議論することに何のためらいもありません。「トランプ政権をどう思うか?」「いま最優先で取り組むべき政治課題は何か?」といったことを、ごく普通に話せます。


一方で日本には、若者たちが政治や平和について議論できる場がほとんどありません。かつて公明党議員をゲストに招いたイベントを主催した際に、仲良くなった創価学会青年部の友人は、平和について熱心に語っていたのが印象的でした。そのほかにも気候変動やジェンダーギャップなどの社会問題に取り組んでいる団体でもそうした議論は活発でしょう。しかしまだ限定的であり、若者が政治について話せるオープンな場が整備されていないのが現実です。


また、日常会話の中でも、「友人関係を壊したくないなら政治の話をするな」という空気が根強くあって、政権への賛否以前に「投票に行ったかどうか」すら友人知人に聞きにくい感じがあります。「民主主義の初歩の初歩」の段階にも達していない印象です。


そうした現状を少しでも改善したくて、私は「若者の政治参加」を底上げするための活動を続けています。また、社会の大きな流れはすぐには変えられないとしても、自分の地元・荒川区の環境を少しでも良くするために、いまは地域で頑張っています。


具体的にはいま、地域に「子ども食堂」を作りたいと思っています。そこを拠点として、もしも災害や経済危機などが起きても地域の人々を支援できるような体制を、少しでも作っておきたいのです。


荒川区という小さなフィールドでも、そこで政策の先進事例を作れれば、それをモデルとして都内全域や日本全体に広めていくことは可能だと思います。


地域の平和は世界平和に向けての小さな一歩ですから、自分の手の届く範囲から、まずは変えていきたいのです。


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