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10月のニュース・レビュー

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新聞各紙で話題となったニュースから、『潮』独自の視点で4つのテーマを厳選!

各紙の内容を"ななめ読み"し、論点や今後の展望を論じていく。


※『潮』2026年11月号掲載の「新聞クリッパー」から転載いたしました。

トランプ政権が同盟国・日本出身の

国連機関トップを標的にする異例の行動

米国のルビオ国務長官が国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長を制裁対象にすると発表したのは8月18日。もともとトランプ政権はこの国際機関を目の敵にしてきた経緯がある。


きっかけは米国政府が後押しするイスラエルのネタニヤフ首相に24年11月、同機関が「人道に対する罪」で逮捕状を発出したことに始まる。昨年2月にはトランプ大統領がICC関係者を制裁する大統領令に署名し、検察官や裁判官らを次々と入国禁止や資産凍結の対象にした。


さらに今年7月には話題を呼ぶニューヨークのマムダニ市長が、ネタニヤフ氏が国連総会などに出席するためニューヨーク入りした場合は身柄を拘束する旨を発言(その後撤回)したことで、トランプ政権側をいたく刺激した。


7月に「ICC解体」に向けたキャンペーンが始まり、冒頭の制裁対象を発表。赤根所長の出身地(愛知県)の系列新聞は「同盟国出身の国際機関トップまで標的にするのは極めて異例」(8月20日付東京)と報じた。


もともとこの組織はどのようなものだったか。国家間の問題を扱う国際裁判所としては他に国際司法裁判所(ICJ)があるが(現在はこちらも日本人所長)、ICCは国家ではなく個人を裁く。各国政府で裁けない戦争犯罪や人道に対する罪などを犯した個人の刑事責任を追及する"最後の希望"だ。


「容疑者の国籍国が非加盟でも管轄権を行使できる仕組み」(8月20日付朝日)で、それまでの戦争犯罪では事例ごとに国際法廷が設置されていたが、独立した"常設"の国際裁判所が設置されたことは21世紀における「人類の叡知」というべき姿だった。

「人道の砦」をつぶしにかかる米国

イラン攻撃への訴追を恐れる動き

ICCは1998年の設立条約(ローマ規程)に定められ、120カ国が賛成して採択された。2002年発足(本部オランダ・ハーグ)。以来「虐殺や戦争犯罪に関わった70人以上に逮捕状や出頭命令を出してきた」(8月27日付東京)。23年にウクライナ侵攻のロシア・プーチン大統領に逮捕状を出した厳正さで知られる。


日本は2007年に加盟、これまで3人の裁判官を派遣してきた。その3人目が18年から勤務する日本の検察官出身の赤根智子氏だ。日本人として初めて"所長"に就任したのが24年3月。その結果、日本政府は45億円強の最大の分担金を負担してきた経緯がある。


ICCは国連加盟国の3分の2に当たる125カ国・地域が加盟。「国際法の番人」(8月21日付毎日)、「人道を守る最後のとりで」(9月3日付同)と位置づけられる(ただし米国、ロシア、中国、イスラエルは非加盟のまま)。トランプ政権が目の敵にするのは、米国のイランへの軍事力行使などで大統領や閣僚が将来訴追される事態を恐れる旨を各紙とも指摘する。


日本政府はこれまでさまざまなルートを通じて赤根所長への制裁を思いとどまるよう米国側に申し入れてきたが、「今回、日本の意向を無視」(8月20日付毎日)した形だ。


赤根所長はオンライン講演で、銀行口座が凍結されたり、クレジットカードが使えなくなったりしてきた過去の事例を紹介。「まるで麻薬の売人のような扱い。尊厳を踏みにじられている」(9月7日付東京)と訴えた。幸い、ICCは事態を予期し、米国製から欧州製のシステムへ切替えを進めてきたという。


今後、米国がICC"本体"への制裁に踏み込めば、「世界で『法の支配』が崩れるきっかけになる」(8月25日付産経)と懸念。赤根氏は「来春任期を終える予定」という(9月4日付同)。

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