政府の見解を質した斉藤代表
〈公明党の斉藤鉄夫代表は13日、日本が国是として堅持してきた「非核三原則」と、日本と密接な関係にある他国への武力攻撃で日本の存立が脅かされ、自衛隊が自衛の措置として武力行使できる「存立危機事態」に関して政府の見解を確認するため、額賀福志郎衆院議長に質問主意書を提出した。質問主意書は、議会の国政に関する調査・監督機能の一つとして、議員が内閣に説明や見解を求めるもの。
質問主意書の提出理由について斉藤代表は同日の党中央幹事会で、高市早苗首相が国会答弁で非核三原則の堅持を明言しなかったことなどに触れ「安全保障に関わる政府の見解や基本姿勢が堅持されているのか大変疑問に感じる。国の基本方針と首相の国会答弁に揺らぎがあってはならない」と指摘。「国民の安心のためにも、厳しく確認したい」と説明した。
非核三原則に関する質問主意書では、同原則が日本や周辺国の平和と安定に果たしてきた役割について質問。その上で、前首相が「政策上の方針として堅持し、見直す考えはない」と示した方針に変更はあるのか、安全保障環境の変化を踏まえて方針を変更する考えはあるのか聞いている。
また、「核兵器のない世界」へ非核三原則の堅持と核兵器禁止条約への対応を、今後どのように両立させていくか、明確な見解を示すよう求めている。
存立危機事態に関する質問主意書では「台湾有事は存立危機事態になり得る」と述べた高市首相の国会答弁に関して、発言内容に間違いがないか確認した上で、①同事態の認定基準、従来の見解や解釈を現在も完全に維持しているのか ②認定要件などの見直しや再検討が必要だと考えているのか ③個別事例を挙げて答弁を行うことは国民や周辺国・地域に誤解を与えるものではないか―と問いただしている〉。(11月14日「公明新聞」電子版)
「野党」としての公明党の闘い方
公明党が連立与党だった時期は、外交・安全保障問題で首相が従来の方針を変更するような発言をする場合は、事前に公明党と協議していた。従って、国会で首相が突然、「存立危機事態」の適用基準や「非核三原則」を変更するような答弁をすることはなかった。仮に首相がこのような突飛な発言をすることがあっても、公明党が「連立を組む私たちと協議することなく、ああいう答弁をするのはなぜですか」と問いただし、首相は答弁を撤回することになっただろう。
「公明党が与党にいる内は自民党の暴走に歯止めをかけることができたが、野党になってしまってはそれができなくなる」という論者がいるが、この認識は間違いだ。野党になった公明党は、野党らしい方法で政府の暴走に歯止めをかけることができる。
その一つの手段が質問主意書だ。質問主意書は、憲法で定められた国政調査権の一つで、衆議院議長もしくは参議院議長の承認を経て内閣に対して行う。質問主意書は、国会から内閣に転送され、内閣は質問主意書を受け取った日から7日以内に答弁しなければならない。7日以内に答弁できない場合は、その理由と答弁できる期限が議長に通知される。
質問主意書に対する答弁は閣議決定が必要とされる。閣議決定された事項は首相を含む政府全体を拘束する。質問主意書の答弁が持つ意味はきわめて重いのだ。答弁書の作成に当たっては、外務省や内閣法制局も関与するので、「存立危機事態」の適用基準や、「非核三原則」を変更することは考えられない。高市早苗首相名で、彼女の国会答弁の内容を否定させるというのが公明党の狙いだ。
仮に答弁書で政府が従来方針を維持することを表明しない場合には、明確な政策変更になるので、大きな政治問題になる。斉藤氏は平和を守るために公明党らしい闘いを展開している。
(本原稿は、潮2026年1月号の内容を一部抜粋して転載しています)