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平和を守る公明党の闘い(佐藤優)

高市首相の答弁とその危うさ

高市早苗首相の外交に対する認識と発言はかなり危うい。2025年11月7日、就任後初の衆院予算委員会で「台湾有事」をめぐり集団的自衛権の行使が可能となる「存立危機事態」に当たるかどうか、立憲民主党の岡田克也氏に問われたのに対する高市氏の答弁に、その危険性が端的に表れている。


〈衆院予算委員会に初めて臨んだ高市早苗首相は、中国による台湾侵攻に関し「武力攻撃が発生したら(日本の)存立危機事態にあたる可能性が高い」と明言し、歴代内閣の公式見解を踏み越えた。就任前からの持論だが、現役首相として中国を相手に集団的自衛権行使の可能性に踏み込んだ発言であり、今後の日中関係への影響も懸念される。


「例えば、台湾を完全に中国・北京政府の支配下に置くためにどういう手段を使うか―」。7日の衆院予算委員会で、中国による台湾有事への対応を問われた首相は、海上封鎖や偽情報の流布などの可能性を例示した上で、こう強調した。


「やはり、戦艦を使って武力の行使も伴うものであれば『存立危機事態』になりうるケースであると、私は考えます」


質問した立憲民主党の岡田克也衆院議員は外相経験もある。首相の答弁内容にやや驚いた表情を見せつつ「あんまり軽々に『武力行使』と言うべきではない」と返した〉。(11月7日「朝日新聞」デジタル版)


この答弁に「戦艦」という言葉があることに注目してほしい。戦艦という範疇の艦船を中国は持っていない。また現代の安全保障の論議で、戦艦の使用について言及されることは皆無だ。従って、戦艦という言葉を用いたこの答弁は、外務省や内閣法制局の官僚が関与していない高市氏の独創的見解と見たほうがいい。


中国は高市氏の発言に激しく反発している。高市発言を契機に日中関係は急速に悪化している。

非核三原則は国是ではなかったのか

高市氏の危うい発言は「存立危機事態」にとどまらない。11月11日の衆院予算委員会では、安全保障関連三文書(「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」の三文書で構成される)の改定との文脈で「非核三原則」の変更を示唆する答弁をした。


〈高市早苗首相は11日の衆院予算委員会で、自らが指示した安全保障関連3文書の前倒し改定の際に非核三原則の文言を堅持するかをめぐり、「私から申し上げる段階ではない」と述べ、堅持するか否かの明言を避けた。


れいわ新選組の櫛渕万里氏への答弁。非核三原則をめぐり首相は「現段階で政府としては政策上の方針として堅持している」とする一方、3文書改定後については「3文書の見直しはこれから作業が始まる。今、このような書きぶりになると、私から申し上げる段階ではない」と述べた。櫛渕氏は「非核三原則は国是だ。維持すると明言しないことに驚いた」と指摘した〉。(11月11日「朝日新聞」デジタル版)


「非核三原則」は、佐藤栄作首相(当時)が1967年の衆院予算委員会で「核を持たず、作らず、持ち込ませず」と述べた答弁がもとになっている。「非核三原則」を定めたことは、佐藤氏が1974年にノーベル平和賞を受賞した理由の一つになっている。現在の安保関連三文書の中でも「非核三原則を堅持するとの基本方針は今後も変わらない」と記されている。


以前より高市氏は「非核三原則」の変更について繰り返し述べている。今回の答弁はそのための布石と見るのが妥当だ。


核廃絶、東アジアにおける戦争の阻止は、公明党の基本政策だ。高市氏が「存立危機事態」適用の基準を下げ、「非核三原則」を変更することに歯止めをかけなくてはならない。


公明党の斉藤鉄夫代表は、この二件に関して、重要な発言をした。少し長くなるが、公明党が平和という創価学会の基本的価値観を政治の現実において実現しようとしていることがよくわかるので、お付き合い願いたい。

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