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大好きな栃木のためなら何でもお手伝いさせていただきます!(大島美幸さん)
家族をもって気づいた栃木のすばらしさ
このような両親に育てられた私自身も、夫(放送作家の鈴木おさむさん)と結婚してはや22年。長男は8歳です。子どもが生まれると、プライベートでも栃木に帰る機会が増えました。独身のときと家庭や子どもをもってからとでは、故郷に対する見方が大きく変わった気がします。若い頃には気づかなかった栃木の魅力を、しみじみ感じるようになりました。
私には小中高とクラスが一緒で、地元に帰れば必ず会う仲のいい同級生がいます。その子は東京で20年ほど暮らした後、40歳のときに結婚を機に故郷に帰り、地元で子育てをしています。その同級生と会うたびに「昔は栃木には何もないと思って東京に出たけれど、実はここにはなんでもあるんだね」なんて話をします。若い頃は、ものがよく見えていなかったのだと思います。
故郷の良さに気づくと、その魅力をもっと多くの人に知ってもらいたいと自然に思うようになるものです。同級生には栃木の魅力を紹介するテレビに一緒に出てもらったりしています。そのたびに、「栃木には全国に紹介できるものがヤバイくらいいっぱいあるよね」なんて話で盛り上がっています。同級生の夫は今、地域おこし協力隊をやっていて、栃木の魅力を発信しています。
そんな同級生の暮らしぶりを見ていても、栃木はとても子育てがしやすい環境だと思います。近くにコンビニはなくても、裏山で山菜が採れ、自分たちでつくったお米や野菜を毎日食べられます。子どもの頃は当たり前すぎて何も感じていませんでしたが、それがいかに豊かで贅沢なことか。都会生活を長年経験してきたからこそ、そう痛感するんです。
また、ずっと都会で暮らしたからこそ、その良さをますます感じるようになったのが、地元の人たちの温かさです。栃木の人は、人になにかをあげることが大好きです。だから日常的に、もらいものがすごく多いんです。
たとえば栃木では、煮物のことを「お煮しめ」といいます。そして近所のおばさんがしょっちゅう「お煮しめをたくさんつくったよ」と、鍋ごと持ってきてくれます。すると「うちはかぼちゃの煮物をつくったから持っていきな」とお返しする鍋にかぼちゃを入れて返す。そんなすてきな文化が、いまも根付いています。私の母に限らず皆さん、楽しみやおいしいものを独り占めせず、誰かと共有したいという思いが強いんです。私は東京でもよく、同じマンションの仲のいい友達に、お味噌汁をお裾分けで持っていったりしています。
栃木ではほとんどの人が顔馴染みで、外で会えば必ず「おはよう」「こんにちは」と挨拶します。東京でも、私はなるべく近所で会った人とは挨拶するようにしています。やはり何かあったときは、地域での助け合いが必要です。そのためには都会といえども、日頃の交流こそ大事だと思うんです。
そういえば子どもの頃、お月見泥棒という行事がありました。お月見の日に、子どもが民家の軒先に置かれたりんごや団子を盗んで歩くんです。子ども心に、不思議な風習だなと思っていました。もちろん本当に泥棒をしているわけではありません。ちゃんと子どもへのプレゼントとして、各家庭が軒先に置いておくんです(ちょっとハロウィンに似ていますね)。必ずしも栃木に限った行事ではないようですが、こんな行事が成立するのも、地域での家庭の交流や信頼関係があるからだと思います。
芭蕉がもっとも長く滞在した地
いまの私があるのは栃木の自然や食べ物、温かい人々の存在があったからこそです。その恩返しとして、地域振興のための仕事もいろいろさせていただいています。その一つが大田原市の魅力を発信する、「大田原ふるさと大使」です。清流と肥沃な土地に恵まれた大田原市は、農業や畜産が盛んです。お米やアスパラガス、ネギやナシ、和牛など、なんでもおいしいですが、とくに唐辛子が有名で、かつては日本一の生産量を誇ったこともあります。
また大田原市は、松尾芭蕉が「おくのほそ道」の旅のなかで14日間と、もっとも長く滞在したことで知られています。その理由はお酒がおいしかったからだといわれていますが、この地に知り合いも多かったようです。芭蕉はこの地の自然を愛し、自然に触発されて、たくさんの句を読んだようです。
そのため大田原市には、芭蕉の句碑がある神社がたくさんあります。以前、栃木のローカル番組でそんな芭蕉の石碑を巡らせていただきました。芭蕉ファンの間ではよく知られていたことだったのかもしれませんが、私はこの時、初めて田んぼの真ん中に石碑があることを知り、びっくりしましたね。芭蕉に関する資料を展示した「黒羽芭蕉の館」という施設もあるので、興味のある方はぜひ訪れてみて下さい。館長さんは群馬から移住された芭蕉の専門家で、芭蕉について聞けば、なんでも熱心に教えて下さいますよ。
もう一つ、栃木県内の独身の方に結婚の良さを伝える「ふたりの未来応援アンバサダー」も務めさせていただいています。引っ込み思案で奥ゆかしい栃木の若者たちに出会いの場を作ったり、結婚も人生の選択の一つだよとお伝えする取り組み――ようは婚活の応援隊ですね。座談会やトークショーを開いたり、ウェディングドレス姿の撮影体験を実施したり、さまざまな取り組みを行っています。大好きな栃木の未来のためにできることがあれば、私はなんでもお手伝いさせていただきたいと思っています。