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知らないのは県民だけ!? 世界を魅了する富山の食・人・自然

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『女性の品格』の坂東眞理子とWAHAHA本舗の柴田理恵が幼き日を過ごした富山を徹底深掘り。立山連峰の荘厳なパノラマ、黒部アルペンルートの雪壁、美食を生む富山湾の"天然の生け簀"、八尾「おわら風の盆」の幽玄舞――働き者で温かな県民性も交え、NYタイムズ「2025年に行くべき52ヵ所」に選ばれた故郷の底力を笑いと郷愁で描き出す。(月刊『潮』2025年6月号より転載)

幼少時代の郷里の思い出


柴田 坂東先生とは、かつての『潮』での連載「ワハハ対談」でご一緒して以来、17年ぶりですね。


坂東 もうそんなに経ちますか!


柴田 今日は、私たちの地元・富山県について、思う存分語れるとのことで楽しみにしてきました。


坂東 私も心待ちにしていました。よろしくお願いいたします。


柴田 坂東先生は富山のどちらのお生まれですか。


坂東 私は立山町の五百石で生まれ育ったんです。地鉄(富山地方鉄道)の五百石駅が最寄りで、今日は記念切符をお持ちしました。


柴田 すごい! 私の父は地鉄で働いてたんですよ。


坂東 柴田さんのお生まれは八尾町(現・富山市)でしたね。八尾町では毎年豊作を祈るとともに、風の災害が起こらないことを願う行事「おわら風の盆」が有名ですよね。柴田さんもやっぱり小さな頃から踊ってたんですか。


柴田 踊っていましたよ。でも、小学3年生の頃からは、母の実家が営む旅館の仕事を手伝わないといけなかったんで、踊る暇がなくなりました。下足番から配膳から、何でもやっていましたね。あとになって知ったんですが、五木寛之さんが泊まりに来られたこともあって、私がお世話をしたそうなんです。


坂東 それはすごいですね! 私はかつて小説『風の盆恋歌』を書かれた高橋治さんと、祭りの時期に八尾に行きました。


柴田 あの小説で風の盆が一気に全国区になりました。作詞家・作家のなかにし礼さんも来られましたね。

坂東さんは、幼い頃の思い出ってどんなものがありますか。


坂東 私が子どもの頃はまだ高度経済成長期の前で、日本が貧しい時代でした。子どもはいっぱいいるんだけど、テレビはなくて屋外でみんなで遊んでいた記憶がありますね。五百石のあたりは田園が広がっていて、一面の田んぼです。その田園は、春には蓮華畑になるんですが、背景にはいつも立山連峰が見える。


柴田 立山連峰は本当に綺麗ですよね。私も子どもの頃の思い出といえば、春に蕗の薹や蕨なんかの山菜を山に採りに行ったり、夏に川で遊んだり、秋はキノコ狩りに行って、冬は街中の坂道でスキーをするといった感じでしたね。

坂東 八尾は山が近いから自然が素晴らしいですよね。今年の2月10日に立山町の町制70周年記念式典があったので地元に帰ったんですが、そのときには残念ながら曇り空で立山連峰は見えませんでした。特に冬のあいだは見えないことが多いですよね。


柴田 えーっ! 偶然にも私も今年の2月10日は富山にいたんですよ。その日、八尾からは美しい立山連峰がはっきりと見えたんです。

町制70周年ということは、立山町って昭和の大合併で誕生した自治体なんですね。


坂東 かつての雄山町を中心に周辺の村々が合併して立山町ができたんです。平成の大合併で富山市と周辺の町村が合併したような感じです。いまでは八尾も富山市ですもんね。


柴田 あれ、不可解なところがあるんですよ。同じ富山市なのに、天気予報では富山と八尾は別で表示されるんです。特に冬は雪の降り方が違うから。


坂東 富山って小さな県なのに、中央にある呉羽山を境に東西で気候や文化が違うんですよね。


柴田 方言も違いますしね。そんな富山にいま、世界から注目が集まってるんですよ。今年1月の「ニューヨーク・タイムズ」の記事はご覧になりましたか。


坂東 見ましたよ。「2025年に行くべき52ヵ所」に富山市が選ばれたんですよね。「混雑を避けながら、文化的な感動と美味しい料理を楽しめる」との評価で。


柴田 嬉しいですよね。特に北陸新幹線ができてからは、観光客のほとんどを金沢に持っていかれてしまってたんですけど、かねて「富山のほうが美味しい」「富山は静かで自然がいい」って言ってくれる人はいましたからね。


坂東 ニューヨーク・タイムズもなかなかの目利きですよね。富山湾は"天然の生簀"と言われるくらい、魚介類が本当に美味しい。富山の自虐ネタは、「魚は美味しい、山の幸も豊か、お酒は絶品。だけど、美人はいない」です。(笑)


柴田 日本海側は秋田から南に向かって一県飛ばしで美人県って言われますけど……なんてことを言うんだって話ですよ。ここに富山生まれの美人が二人もいるのに。(笑)

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