【追悼】
2025年12月17日、脚本家・内館牧子さんがご逝去されました。多くの名作・名著を遺された内館さんは、潮出版社でもたびたびご執筆いただきました。内館牧子さんが、嵐山光三郎さん、南伸坊さんと昨今の相撲界について語ったてい談を一部ご紹介します。笑いあり、美学あり、毒ありの「牧子節」全開の内容です。
(潮新書『大相撲の不思議3』所収「新書特別企画」から抜粋。)
イタコが降ろした伝説の大横綱
南 ワッ! "白星"柄の着物ですね。いいですね。
嵐山 帯には庄之助の軍配があしらわれていて、お太鼓の力士は双葉山?
内館 はい。相撲絵師の木下大門さんに描いていただきました。
嵐山 双葉山って、右目が見えてなかったみたいですね。
内館 子ども時代の事故とか。
南 69連勝で止めた安藝ノ海は、その目のこと、見破ってたらしいですね。子どもの頃に雑誌で読みました。
嵐山 あの頃は年に二場所だったよね。
内館 そうです。
嵐山 だから、白鵬が双葉山の69連勝を超える可能性が出てきたときに、昔からの相撲通は「年間六場所と二場所を一緒にするな」って怒った。
内館 私、双葉山をナマで見ていないんですが、私にとっては「神」でして、東北大学大学院で相撲の研究をしていたころに、青森のイタコに双葉山の霊を降ろしてもらったことがあるんです。
南 エーッ!? 双葉山、出てきたんですか?
内館 そうなんです。私はあえて「知り合いの男性を降ろして」と言って、知らんぷりして双葉山の命日を伝えました。
嵐山 面白い。降りてきた?
内館 降りてきて、第一声が「見も知らぬあなたが私を呼んでくれて嬉しい。ありがとう」って。これは、知り合いのセリフではありませんよ。「本当に双葉山だ!」と思いました。
そこで私、双葉山に聞いたんです。「69連勝でストップした原因はなんだったんでしょうか」って。そしたら「腰も悪かったが、気の問題だった」と。ホントにこう言ったんですよ、ホントに。「うっちゃり双葉」でしたから腰は悪いにせよ、「気の問題」って言ったんです。
嵐山 すごいな。面白い。