危機感がなく空気で動く日本人
真山 アメリカによるイラン攻撃が起きた時、私が一番ショックだったのは、日本人の反応が、あまりにも大人しかったことです。日本人はコロナの時、国はあてにならない、自分の命は自分で守らなくてはならない、と気づいたはずです。しかし、ホルムズ海峡が封鎖された時、日本人はまったく緊張感がありませんでした。トイレットペーパーの買い占めすら起きなかった。
斎藤 本来なら、もっとパニックになっても、おかしくないですよね。ホルムズ海峡が封鎖された際、世界各国は即座にガソリンの制限や節約を打ち出しました。それなのに日本は、どの国よりも早く石油備蓄を放出し、ガソリンに補助金を出しました。暗にこれまで通り普通に暮らしてください、とのメッセージを出したわけです。
真山 日本人は緊急事態が起きた時、他国と比べて危機感が足りません。コロナの時も、最初はソーシャルディスタンスを多くの人が馬鹿にしていました。しかし、国内で有名人の死者が出ると、一気にスイッチが入った。急にマスクをし始め、飲み歩かなくなった。
時には過激なほどに、自粛警察が活動し始めました。その変わりようには驚きましたね。
斎藤 コロナの時、日本人は政府が強制的にロックダウンしなくても、自粛してくれました。フランスなどは国民が言うことを聞かないので、軍隊が出動して管理せざるを得ませんでした。
日本のように法律に基づかず、空気で世の中が動くことは果たして良いことなのか。空気で物事が決まるのは民主主義ではない、との考え方もあります。
真山 そうですね。ただ日本人は空気さえ漂わせれば、勝手に自粛してくれるということを、政治家は危機管理のために知っておいたほうがいい。
ホルムズ海峡の封鎖の際も、本来は節約ムードの醸成から始めるべきでした。それをしなかった最大の理由は、日本の政治家が経済を何より重視しているからです。
斎藤 コロナの時も、自粛と経済活動のどちらを取るかが大きな課題でしたね。
真山 もちろん、ある程度の経済活動は大事です。ただ、今のグローバル資本主義は、勝った者が総取りする世界です。
どんなに日本が補助金を入れても、世界的に石油の供給が減っていけば、弱い者から命の危機にさらされていきます。そのような警鐘を、この国はほとんど鳴らさない。便利で豊かな生活の維持が一番大事だからです。
斎藤 政治家が常に経済重視なのは、そうしないと支持率が落ちるからです。そういった意味では、国民全体の責任でもあります。
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