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拙速な「議員定数削減」は多様な民意を失わせる

国会議員への不信を払拭するために

いずれにせよ公明党が連立を離脱し、自維政権が誕生した政界再編の根底には政治とカネの問題がありました。本来、これが一番重要なテーマだったはずです。しかしいつのまにかこの問題が、「定数削減」にすり替えられてしまいました。 


選挙制度改革は、政治とカネの問題も含めて議論すべきです。そのうえで、抜本的に選挙制度について考えるなら、一年ではとうていまとまりません。熟議の余地を与えず、自分たちに有利な形に選挙制度を変えるなど、民主主義を破壊する暴挙と言われてもしかたがありません。

 

それにもかかわらず、国民が定数削減に賛成するのは、国会議員に根強い不信感をもっているからでしょう。国会議員が国民のために、真剣に仕事をしていないと思っている国民が多いのです。その要因の一つは国会で行われていること、つまり国会議員の仕事が国民にきちんと理解されていないからです。

日本の政府提出法案は、政府と与党の事前調整によって、ほぼ完成した状態で国会に提出されます。したがって与党は、その内容を国会審議によって変える必要がありません。野党が対案や修正を求めても数の上で否決されるため、実質的な修正につながりにくい。

 

また与野党の意見の相違は、たいてい国会外の政党間協議で調整されます。そのため国会での審議は、法案を追認するだけの儀式のようなものになってしまいがちなのです。

 

その結果、国会議員は国会でまともな議論をしていない。自分たちに見えない場所で、政治が勝手に決められている――国民はそんな国会議員に対する不信感を抱いています。SNSやネットによって何ごともオープンになる現代社会では、国会の審議をもっと「見える化」する必要があります。

 

日本では野党が総理大臣や政府を公式に追及する機会が制度として整備されていないことも問題です。そのため国会の大事な役割である政府に対する監視機能を果たすには、総理大臣が出席することが慣例となっている予算委員会で質問せざるを得ないのです。


しかしこうした制度的な背景を知らない国民は、「なぜ予算委員会で予算とは関係のないスキャンダルを追及するのか」と疑問を抱きます。

 

本来であれば、総理大臣が国会で定期的に答弁し、野党が政府を公式に追及できる場を制度として整備すべきです。イギリスでは「首相質問」が制度化されており、首相は国会で、野党党首らの質問に直接答えなければなりません。

 

野党はこの点をふまえ、国会法の改正も含めた制度改革を提案すべきでしょう。たとえすぐに実現できなくても、理屈の通った提案を積み重ねることが、将来の改革へとつながります。

 

ともあれ今の国会運営は、民主主義の危機ともいえる異常な状態です。民主主義とは多数決ではありません。多様な意見をできるかぎり集約し、合意形成を図るものです。結果だけでなく、議論の過程そのものを、国民が共有することも大切です。


多様な民意が正確に政治へ反映され、国民が議論の過程を信頼できる国会を築くことこそが、本当の意味での選挙制度改革だと私は考えています。

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