反対しにくい「身を切る改革」
日本では長い間、「政治家を減らすこと」「公的なものを小さくすること」が改革であるかのような風潮が続いてきました。1990年代から、政治家や公務員など公の存在を叩くことが正義だとの風潮が作られ、その風潮にうまく乗ったのが維新の会です。
議員定数削減はそんな維新の看板政策です。維新は「身を切る改革」を掲げ、大阪府議会で小選挙区化を進め、一人区を増やしました。その結果、今や大阪では首長も議会も維新が独占しています。その成功体験をもとに、国政でも同じことを行いたいのでしょう。
日本の地方自治体は、首長と議会が、ともに住民の直接選挙で選ばれる二元代表制です。議会には、住民の多様な意見を反映するとともに、首長を監視・牽制する役割があります。しかし一人区が多いと、首長に近い立場の候補者が当選しやすくなり、多様な民意が議会に反映されにくくなります。その結果、議会の行政監視機能が低下し、首長への権限集中が進み、独善的・独裁的な自治体運営を招く恐れがあります。
このような議員定数削減の弊害を、マスメディアが十分に検証し、批判してこなかったことにも大きな責任があります。「身を切る改革」という言葉は耳当たりがよく、有権者にも受け入れられやすいため、反対しにくい空気が作られてきました。
しかし「身を切る改革」を掲げる維新が、自らの政治的影響力や権益を切り詰めてきたわけではありません。むしろ「身を切られている」のは、自分たちの代表を選ぶ権利を狭められている国民なのではないでしょうか。
「中選挙区比例代表制」を検討すべき
現在の衆議院の選挙制度は1994年の公職選挙法改正により、中選挙区制から小選挙区比例代表並立制に変更されました。そもそも中選挙区から今の形に変更したのは、金権政治を改めるためでした。その結果、中選挙区の時より選挙にお金がかからなくなり、選挙がクリーンになったことは確かです。
今、死に票の多い小選挙区制の弊害が指摘され、中選挙区制に戻すべきとの議論があります。その考えも理解できますが、仮に中選挙区制へ戻すのであれば、私は単純な中選挙区制ではなく、「中選挙区比例代表制」を採用すべきだと考えています。
従来の中選挙区制の最大の問題は、同一政党の候補者が同じ選挙区で競合し、同士討ちが常態化する点でした。その結果、個人の後援会組織や資金力に依存した選挙となり、金権政治を助長しやすかったのです。
一方、中選挙区制に比例代表制を組み合わせ、さらに比例代表制に非拘束名簿方式を採用すれば、有権者は政党名だけでなく候補者名でも投票できるので、同じ選挙区内で同じ政党の候補者同士が争うことを一定程度緩和しつつ、同時に候補者個人の資質を評価する余地も残されます。全国規模での比例代表制に比べれば、小規模政党の乱立を、一定程度抑える効果も期待できるでしょう。
