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「一番素晴らしい夕陽だ」───宗教改革の炎

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「信心といっても人間の道だ」「毎日続けることが偉大な力」

宗門はベートーヴェンの「第九」を「外道」呼ばわりしたが、そのタイミングも滑稽だった。わずか2カ月前、「東西ドイツの統一」の前日に、東ドイツの式典で「第九」が歌われたばかりである。世界中のメディアが報道していた。--宗門は「第九」を「外道」と貶した。何よりも許せないことに、くだらない言いがかりで池田先生を否定しようとした。ならば、その「第九」を皆で歌おうじゃないか。差別と権威に凝り固まった坊主どもの、愚かな難癖を吹き飛ばそうよ――この意気で、各地の会合で「第九」が演奏され、歌われ始めた。


はからずも、「第九」という"世界一有名な交響曲"が、「第二次宗門事件」の一つの象徴になった。


北米の学会員たちも「第九」で池田を迎えた。ロサンゼルスでの総会――「先ほど演奏された、ベートーヴェンの『第九交響曲』が『謗法』である(爆笑)などというのも、『文化攻撃』の典型であろう」と池田は応じた(1991年9月、アメリカSGI第1回総会。全集第78巻)。

池田は「SGIの日」記念提言でも言及した。 〈私どもは、聖職者のかりそめの権威で信徒を見下す宗門(日顕宗)という極めて頑迷固陋ころうな勢力――ベートーヴェンの"第九交響曲"を歌うことすら教義に違背するなどという考えられないほど愚かなことを言いつのる守旧勢力――というしがらみを引きずり続けていました〉 (1996年1月、全集第101巻)

また、ベートーヴェンの人生を通して語り続けた。

「(ベートーヴェンは)あの第九交響曲(『交響曲第九番ニ短調〈合唱付〉』)に取りかかろうとしていた人生の晩年、こう述懐している。


『一曲をものにするのに二〇曲を作曲するくらいの苦労をしているのです』


苦労である。努力である。安直な姿勢で、一流になどなれるはずがない。したがって、ベートーヴェンのモットーは、『一行なりといえど書かざる日はなし』であった。毎日、必ず楽譜を書いた。絶対に空白の日をつくらなかった。


毎日、続ける。私どもの勤行――とくに婦人部の皆さまの勤行のようである。(爆笑)毎日、続けることが偉大な力となる」(同2月のスピーチ、全集第86巻)


*


福岡にて――池田は「5万人の第九」に拍手を送り、会館に戻った。車から降りてすぐ、さっき目にしたばかりの博多湾の光景を語った。


「この五十年で見た、


一番素晴らしい夕陽だ」


まだ建物の中に入る前だった。その場にいた人たちも、思わず空を見上げた。30年ほど前の光景を思い出した草創からのリーダーもいた。


初めて福岡に3階建ての会館ができたのは1965年(昭和40年)だった。池田はその屋上で夕陽を眺めることがあった。


「信心、信心といっても、人間の道だ。人間の道を正しく生きた人が得をする。また、その人の信心は正しい」(1975年10月)


「一人が大切だ。一人の人の生命の奥深く、どれだけのものを打ち込んでおくか。九州は、賑やかに大勢集まってやるのが好きだけれど、それだけで元気が出たとか、盛り上がったとか、波動が起きるだろうとかいうような、安直な思考ではいけない」(1976年2月)

九州の地で、さまざまなことを語ってきた。


「池田先生に励ましていただき、九州に立派な若者たちが育って、宗門が外道だ、謗法だと否定したベートーヴェンの『第九』を、子どもから大人まで、みんなで堂々と歌い上げたんです」


「あの音楽祭には学会員ではない友人もたくさん参加していました。そして『5万人の第九』を歌ったことがきっかけで学会に入った方々もいるんです」


こう述懐する人もいた。


新名にいな浩司は九州青年部長として「5万人の第九」を企画した。池田の"夕陽"の一言を聞いてうれしかった。と同時に、首をひねった。

なぜ「この五十年で」なのか。


50年前に何があったのか。


50年、50年……しばらく考えて、アッと声をあげた。周りにいた人たちと確かめ合った。間違いない。


ちょうど半世紀前の、この月。1944年(昭和19年)11月18日――創価学会の初代会長・牧口常三郎が73年の生涯を終えた。場所は、東京拘置所。「治安維持法違反」と「不敬罪」の容疑を着せられての獄死だった。


牧口は、神札を強要する政治権力に、真っ向から異議を唱えた。人間の「自由」の根幹である「信教の自由」を守る側に立った。三畳一間の寒い独房で過ごした。老衰。そして栄養失調。自ら病監に移り、その翌日に息を引き取った。

※当記事は『民衆こそ王者 池田大作とその時代』23巻から抜粋をしたものです。

続きが気になった方はこちらもご覧ください。


宗門の弾圧に抵抗し、人間主義の宗教を確立した師弟の激闘録。

「第九」がつないだ歓喜の連帯と民衆の勝利を描く。

『民衆こそ王者 池田大作とその時代 23 魂の独立宣言――第九篇』「池田大作とその時代」編纂委員会・著

定価:1760円、発行年月:2026年10月、判型/頁数:四六並製/304ページ

【目次】

第1章 「一番素晴らしい夕陽だ」--宗教改革の炎

第2章 「池田先生に会いに行くぞ」--徳島の「第九」

第3章 「泉のように滾々と」--大田の「第九」

第4章 「苦悩を突き抜けて歓喜へ」--5万人の「第九」

第5章 「人間」以外に「仏」はない――10万人の「第九」

資料篇

※本書で紹介した池田先生のスピーチ等(一部抜粋)を掲載。90ページ超の大ボリュームで収録!

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