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「一番素晴らしい夕陽だ」───宗教改革の炎

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1994年(平成6年)11月、「5万人の第九」の歌声が福岡ドーム(当時)に響いた。この前代未聞の音楽祭は、池田大作の提案で実現した。

90年(同2年)に表面化した「第二次宗門事件」。

日蓮正宗は"御本尊の下付かふ停止"や"破門"など"衣ころもの権威"を振りかざし、池田と創価学会をつぶしにかかる。ベートーヴェンの「第九」をドイツ語で歌うことにも「外道」の礼讃だと難癖をつけた――。 創価の師弟が切り開いた「人間のための宗教」の歴史をひもとく。

書籍『民衆こそ王者 池田大作とその時代』23巻から一部を抜粋して紹介します。

福岡ドームを出発した車は、百道ももちインターで福岡都市高速に入った。左手に博多湾が見え始める。太陽は海の向こう――西の空にあった。照らされた街々の色が、紅に変わりつつある。

池田大作は、その光を見つめていた。


福浜海岸も、荒津大橋も、汐井浜橋も、箱崎埠頭も、キラキラとまぶしい。海沿いの風景に向かって、池田は何度かカメラのシャッターを切った。車は松島インターで高速から降りた。


1994年(平成6年)11月23日――九州創価学会は「アジア青年平和音楽祭」を行った。国際連合が創設50周年を記念し、公式に認めた行事でもある。


池田が車窓から海を見たのは、この音楽祭が終わった直後のことだった。

真摯な自己教育を忘れた日本

94年の1年間を通して、九州青年部は多彩な平和・文化・教育運動を起こした。ユネスコやWHO(世界保健機関)、ユニセフなど国連機関への支援をはじめ、「アジア意識調査」(3〜4月)、「アジア連続平和講座」(4〜5月)、在日アジア留学生との交流(6月)、青年部の中国訪問(9月)、「アジアとSGI(創価学会インタナショナル)展」(11月)……それらの取り組みの集大成が、「アジア青年平和音楽祭」だった。沖縄、韓国、香港、インドからもメンバーが招かれ、それぞれの郷土の音楽を奏で、舞い、歌った。


最大の演目は、ベートーヴェンの交響曲第九番ニ短調「合唱付」第四楽章。ドイツ語の合唱には、5万人もの青年世代が参加した。歌った人も、演奏した人も、聴いた人も、全員が初めての経験だった。


クライマックスで、福岡ドームの屋根が開いた。陽の光が場内に差し込んだ瞬間、観客席から、どよめきと感嘆の声が漏れた。この音楽祭は後年、「5万人の第九」 と呼ばれるようになる。


*


なぜ、前代未聞の「5万人の第九」に挑んだのか。この4年前、池田は呼びかけた。――創価学会の創立65周年には5万人で、70周年には10万人で、ベートーヴェンの「第九」を、ドイツ語で歌おう――と(1990年11月16日、創価学会創立60周年を祝賀する本部幹部会でのスピーチ)。


この提案に嚙みついたのが、日蓮正宗(以下、宗門)だった。池田のスピーチからひと月後、宗門から創価学会に対し、幾つもの難癖を書き連ねた「お尋ね」文書が送られてきた。

それは、出所不明のテープを使い、池田の発言を改竄し、捏造すらしていたことがばれて、早々と撤回することになる代物だった。この「お尋ね」文書で宗門は、ベートーヴェンの「第九」をドイツ語で歌うのは「外道礼讃げどうらいさん」である、と言いがかりをつけてきたのである。

学会員のみならず、耳を疑った。あまりの暴論であり、あからさまな「文化の否定」である。それまでも宗門は理不尽な介入を繰り返してきた。池田とローマ教皇の会見が決まった際も、宗門が難色を示し、中止になった(1975年)。

また、池田が創立した東京富士美術館で「英国王室のローブ展」が開かれた時のことである。英国最高位の「ガーター勲章」も展示された。その写真が月刊誌の「大白蓮華」に載った際、宗門は「これは十字架であり、キリスト教の本尊である」と中傷した。「ガーター勲章」は英国王室の伝統を表したもので、信仰の対象ではない。海外でマザー・テレサを"人々を地獄に導く悪魔"と罵った僧もいた。宗門の管長だった阿部あべ日顕にっけんは、「西暦」すら「謗法(正法を誹謗すること)」だと見なしていた。

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