いざ、政治の道へ
2005年には、同期入社のなかでは最初に、ゴールドマン・サックスの執行役員に就任しました。執行役員になって、責任を負う範囲が大きくなりました。また、多くのヘッドハンディングの電話がかかってくるようになりました。ただ、私は一度もヘッドハンターとお会いしたことはありません。ゴールドマン・サックスが大好きでしたし、金融業界で働くなら、ここ以外にないと考えていたからです。
ところが、2011年の冬に私のもとに舞い込んできたのは、金融業界からのヘッドハンディングではなく、公明党関係者からの電話でした。そこで「衆議院議員に挑戦し一緒に仕事をしないか」というお誘いをいただいたのです。
悩まないわけがありません。本当に悩みました。どうしてそこまで悩んだかというと、どちらの方が社会のため、世界のために、自分の実力や経験を発揮できるかということに悩んだのです。
最終的に私は、政治の道に進むことにしました。そう決断したのは、2011年が日本にとって激動の年だったことも関係しています。東日本大震災を経験して、政権の能力の重要性を感じざるを得なかったのは、私だけではないと思います。
国政に進む決意を、公明党の山口那津男代表に伝えると、「岡本さんが長年勤めた会社を辞められるわけだから、党の代表としてしっかりご挨拶をさせていただきたい」と言われました。そして、ゴールドマン・サックス・ジャパンの社長と面談することになりました。
六本木ヒルズにある本社の応接室で、山口代表は社長に「岡本さんに公明党の議員に立候補してほしいと思っています」と伝えました。
すると社長は、こんなふうに言ってくれたのです。
「岡本さんは、次にこの会社を担う人だと思い、今まで大切に育ててきた一人です。しかし、ゴールドマン・サックス出身の国会議員として社会に貢献してもらえば嬉しく思いますし、岡本さんが決めたのであれば、私は全力で応援します。
ただ、一つだけお願いがあります。もしも万が一、選挙に負けるようなことがあったら、岡本さんをゴールドマン・サックスに返してくれませんか」と。
これに対して、山口代表は「岡本さんが必ず当選するように、私が全力で支援します」と言ってくれました。
何としても選挙には勝たなければならない。そして、ゴールドマン・サックスの名に恥じない仕事をしなければならない。そう決意したことを、昨日のことのように覚えています。ちなみに退職に際して、多くの同僚や顧客から真心からの送別会をしていただいたことは、今も私の誇りです。
※当記事は『逆転の創造力』から抜粋をしたものです。
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