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「外部」と見た創価学会の現場 特別対談【佐藤 優×開沼 博】

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宗教は科学や経済と相容れないものか

開沼 外部から見ると、科学と宗教は相容れない関係にあるように見えます。つまるところは、貧しい人や悩みがある人が宗教にすがる。そんなふうに捉えている。しかし、現実には金融、学術等のグローバルエリートの学会員も分厚く存在していて、世俗での成功を収めている人たちもいる。

 

佐藤 創価学会の信仰をして一生懸命に働いていると福運が積み重なるから豊かになってくる。その意味においては、いまや貧しさというのは基本的には信仰の動機ではないですよね。

 

開沼 そうなんです。だから「心の弱い孤独な人が楽になるために宗教にハマって思考停止」みたいな捉え方では捉えきれない。その意味で、この先、世俗化がさらに進んだときに信仰の動機がどう変化するのか。今後はそこを追ってみたいと思っています。

 

佐藤 私は学術に従事している学会員を見ると、カンタベリーのアンセルムスを思い出すんです。

 

「知解を求める信仰」という考え方がある。彼ら彼女らは、信仰があるがゆえにもっと知りたいと思うんです。森羅万象に宗教は関係しているから、分野はなんだっていい。どの分野においても〝より正確に知りたい〟という動機が、信仰によって深まっていくし、知ることでさらに信仰が深まっていくんです。外から見れば、信仰とはまったく関係のない学術的な成果が積み重なっているんだけれど、本人にとっては信仰が深まっている。そういうサイクルができ上がってくるから、本人にとって科学と宗教にも矛盾がなくなっていくんです。

 

池田先生の期待にお応えしたい。先生に"大科学者になったね"と思っていただきたい。そう思うだけで、研究の意欲が湧いてくる。これもキリスト教から見れば何も意外なことじゃないんです。出世したいという動機はむしろ学術に対する向き合い方に歪みが出てくる。信仰を深めていくことが自分の学術だし、自分の仕事なんです。学術の世界だけでなく、経済の世界にも同じような競争があるので、これも同様です。

 

開沼 そうした内在的論理をマスメディアが深く掘り下げることはありませんよね。

 

佐藤 宗教のなかに入って調査をすればおっかない目に遭うとか、おっかない目に遭わなくても面倒くさいとかって思っているんじゃないでしょうか。

 

開沼 そうですね。だから前例踏襲が安全だ、と、既存のイメージを再生産し続ける。

宗教に対する無意識の偏見

開沼 セクシャルマイノリティーや少数民族に対するマイクロアグレッション(軽微な攻撃)やアウティング(本人の了承を得ないままの第三者による暴露)、アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)は、様々に問題提起されているものの宗教に対するそれは、いまだに根強い。むしろ、旧統一教会の問題でさらに加速しているといえます。

 

佐藤 民族に関して言えば、沖縄は日本において民族として位置付けられていないから、ヘイトの対象になっていない。それだから、沖縄に対するヘイトスピーチは法的に規制できない。どうしてもそうやって抜け落ちてしまうところがあるんです。宗教も同じように抜け落ちてしまってるんでしょう。

 

開沼 宗教差別は現に日本社会に存在しますが、それが無いことにされている。「◯◯は◯◯の信者だ」ということが誹謗中傷と直結してしまう現状がある。「◯◯はLGBTQだ、◯◯人だ」ということではそれが許されないと認識が変わってきたのにもかかわらず。その点も外部から考えるきっかけになればと思います。

 

佐藤 時間はかかるかもしれませんが、必ず結果がついてくると思いますよ。これは創価学会のなかの人たちにも頑張ってもらわないといけません。最後になりますが、開沼さんが今回の学会研究を経て、創価学会に期待を寄せていることを、ぜひ聞かせてください。

 

開沼 繰り返しになりますが、不条理に対する不健全な熱狂が生まれやすい時代の流れに対して、社会のバランスを保つ役割を期待しています。もともと宗教には、個人の救済だけではなく、孤立化した人々を繫ぐことなど、もっと広い役割があったはずです。創価学会には、現代社会の世俗化のなかにあっても、そうした広い役割が残されている。現に、日本で最もアクティブな宗教者を抱えているのは創価学会です。だからこそ、宗教が本来的に持つ力を創価学会には発揮してもらいたいと思っています。

 

佐藤 すごくいい視点だと思います。世俗化に対して防衛するのではなくて、むしろ世俗化を糧として宗教の新しい可能性を開いてほしいですね。

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 『「外部」と見た創価学会の現場』

聖教新聞社編/開沼博解説、定価:1430円(税込)、発行年月:2024年7月、判型/造本:四六並製/328ページ

 

【目次】

序章 なぜいま創価学会なのか

第1章 強さの根源「座談会」

第2章 団地を支える「調和」の生き方

第3章 農漁業――偶然を必然に

第4章 「人生の軸」探す若者たち

第5章 創価・想像の共同体

第6章 「苦海」の不条理を越えて

第7章 変化の時代の「羅針盤」

第8章 「グローバル化」の鍵

終章 創価学会研究を振り返って

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