さらに共通項目などを分析していくと、「政治家の有能さ」の基準として大きく二つのタイプに分けることができる。一つ目のタイプは社会的な問題を説明する能力や幅広い合意を得る能力などを重視する「合意型」の政治家を有能だと考えるタイプ。
もう一つは、誤解を恐れず強い言葉で論破する能力やルールよりも信念を貫く能力などを重視する「直情型」のタイプ。
最近の首相タイプで言えば、岸田文雄氏や石破茂氏は前者、安倍晋三氏や高市氏は後者と分類できるかもしれない。
そして、それらの望ましい政治家像と参院選の投票先を分析すると、ほとんどの政党の投票者は多かれ少なかれ合意型志向のほうに寄っているのに対し、直情型は大きく分かれており、参政党やNHK党、自民党、国民民主党といった保守系の政党投票層ほど、直情型を好む傾向が見て取れる。
また世代と「政治家の有能さ」の関係を分析すると、世代によって望ましい政治家像に大きな違いがあることがわかる。
若年層(10代~30代)は、直情型がかなり高い部分に位置し、合意型が極端に低い結果となっている。一方で、高齢層(60代や70代以上)は、合意型が比較的高く、直情型が低い箇所に位置しており、年齢を重ねるごとに、合意型志向を強め、直情型志向をより低下させるようだ。
首相(内閣)の支持率で見れば、若年層は直情型に分類できる安倍氏や高市氏を高く支持し、岸田氏や石破氏の支持率は明らかに低い傾向にあった。
最後に、選挙期間中に利用したメディアと「政治家の有能さ」に関する二つのタイプとの関連を分析すると、合意型と関連するメディアの種類は、SNSの文字投稿および知人との会話の二つで、統計的に有意な関連が見られるという。
一方で直情型と関連しているのは、テレビ、ユーチューブ、ショート動画となった。これらは「映像メディア」という共通項があり、明確な因果関係まではわからないが、映像メディアと直情型政治家を求める傾向に親和性がありそうだ。スマホや高速回線が浸透し、映像メディアが見やすくなった時代だからこそ、直情型の政治家が支持を集めているとも言えるかもしれない。