小さい国だからこそ、信念をもった外交を
強い信念を抱き行動を続ける大使の胸には、小学生のころから毎日学校で暗唱していた、ジャマイカの国家公約がある。加えて、父親との手紙のエピソードを紹介してくれた。
「父は、人間として最も崇高な資質は、揺るがぬ決心である、とのメッセージを送ってくれました。条件がどんなに限られていたとしても、断固とした決意があれば、必ず道は開かれていくことを、私も確信しています。また父は、私が外交官として成功することを信じてくれていました。外交官になったら、謙虚であること、辛抱強くあること、努力をすること、思いやりをもつことを心に留めておくようにと、手紙に書き残していたのです」
子どものころから正義感を育み、努力と情熱でまい進してきた大使。読書好きで、世界史を学ぶ中で、国際社会の力学や悲惨な戦争の歴史があることを知った。
ジャマイカには、"we likkle but we tallawah"ということわざがある。「私たちは小さいけれど、熱意と献身と懸命な努力によって成せることは無限だ」というこの英知の言葉は、さまざまな交渉の場や話し合いの中で、自身の意見を活発に発言し、粘り強く訴えてきた大使の行動に通じている。
ジャマイカは人口290万人という小さな国であっても、世界に貢献することができるという確信の外交を進める大使は、"ひとつの仕事を始めたら、終わるまで諦めてはいけない。どんなに小さなことでも、やるからには最後まで全力を尽くして、よい結果を残すという、強い思いが大事"だと、熱く語った。
平和のために、希望のリレーを
国際情勢はより複雑になり、紛争も絶えることはない。青年たちとの懇談会では、平和のことを訴えて友人に話をしても、関心をもってくれないと涙を流した学生がいた。
「私も世界で起きている状況を見て、重苦しさや絶望、無力感を感じることもあります。平和とは単に戦争がないことではありません。紛争や戦争の原因が何かということを考えなければなりません」
大使は、そう寄り添うように励まし、経済格差や根源的な問題が紛争につながっていること、国際社会の舞台では、軍縮や差別、貧困など多国間の問題解決のために辛抱強く交渉を重ねていくことが求められると、自身の立場にも、粘り強い活動があることを語った。
たとえ無関心な友人や考えの違う人であっても、そこに向き合い、理解や寛容を深めるために、解決の方途を模索し努力を続ける行動こそが、平和を築く過程なのだと、そして「皆さんはすでに創価学会の活動の中で学んでいると思います」と、微笑んだ。
大使は国連で活動中に多数の市民団体の研究報告を学ぶ機会があったという。その折にSGIの理念や多彩な活動を知り、その後も関西創価学園や大学での講演、民主音楽協会との文化交流を進めることで理解を深めてきた。池田SGI会長が教育、文化、対話を通して平和の道を切り開いてきたことは、偉業であり、その平和活動から、「開かれた心」を学んだと語る。
SGIでは、多くの女性たちが平和への思いを胸に、地域で草の根の活動を広げてきた。
「女性は人を中心に物事を見ているので、日々の生活から苦しみを取り除こうという視点をもっています。国や組織の立場で争うのではなく、育む力や対話を通して問題を解決していこうとする姿勢は、世界の平和のために大きな役割を果たすことは確かです」
女性の重要性を強調すると、「今後は、女性が決断する立場に携わって、意思決定者になっていくことが不可欠です」と、言葉を重ねた。
世界平和への道のりを、マラソンだけではなく、自分の責任を果たして、その次の人にバトンを渡す「リレーのレース」にたとえる大使。
「打ちひしがれそうになるときや諦めそうになるときに、希望をもち、闘い続けるためには、互いに励まし合うネットワークが重要です。一人ひとりの平和への努力、闘いがつながっていくところに、平和への道が開けていく。創価学会のネットワークは平和の連帯を広げ、共感を広げ、世界中の志を同じくする人たちの希望の存在です」と、一層の連帯を呼びかけてエールを送った。
