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遠距離介護を経験して、母への思いを素直に言えるようになりました(柴田理恵さん)

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ニコニコ生きることは ニコニコ逝けるということ

母の介護を通して、私自身が変わったなと実感していることがあります。それは「ありがとう」という感謝や「長生きしてね」という願いをハッキリ言葉にして母に言えるようになったことです。


遠距離介護という距離感が、お互いにとってよかったのでしょう。「お母さんが育ててくれたから、いまの私がある」なんて、心で思っていても、これまでは恥ずかしくて面と向かっては言えませんでした。母の介護を続けるうちに、私自身も素直になってきたのだと思います。


最近会いに行くと母は、「みんなに迷惑かけて申し訳ないね」と言うようになりました。そのたびに、「そんなことないよ。お母さんが元気でおってくれれば、私も幸せ。みんなも幸せになるんだよ」と返します。決まって母は、「そぉ、じゃ、がんばる」とすごく喜んでくれるんです。


私も母に会うときは必ず笑顔でいるようにしています。噓くさいかもしれないけど、思いっきりニコニコします。そのほうが母が喜ぶからです。親は子どもの笑顔がいちばん好きなんです。 私が笑顔でいると、母もニコニコ生きてくれる。医師や看護師さん、ヘルパーさんなど自分のお世話をしてくれる人たちに、いつもニコニコと「ありがとう」と言える。


ニコニコ生きるということは"ニコニコ逝ける"ということだと思います。 そんな母の姿を見ていると、人生のしまい方を教えてくれている、という気持ちになります。やっぱり親は最後まで子どものために生きてくれているのです。


介護の心構え──いざというとき慌てないために

●ささいな違和感を見逃さない

親の介護が始まるパターンは2つ。徐々に身体の機能や認知の能力が衰えていく場合と、突然の病気や事故で介護が必要になる場合だ。問題は前者で、かなり事態が進んでからでしか気づかないことが多い。だからこそ、親のようすを見ていて抱いた「あれっ」というささいな違和感を見逃さないこと。少しでも違和感を覚え、心配になったらすぐに地域包括支援センターに相談をしてアドバイスを仰ぐことが大事になる。結果的に何もなかったとしても、介護予防の情報を得ることができる。

●プロに任せて家族はサポートを

介護というと、すべてを自分で仕切ろうとする家族や、ぜんぶ自分で背負い込む人が少なくない。親の状態に合わせて、臨機応変に介護プランを変えていくためにも、最初から介護はプロに任せることが大切。介護保険についてなど、費用についてのアドバイスも受けることができるため、地域包括支援センターに早い段階で相談をし、家族はプロを信頼して、親の性格や好みなどを伝えたりするサポートに徹するようにしたい。

●本人にとって何が幸せかを考える

介護が必要になったとき、いちばん大切なことは"何が本人にとって幸せなことか"を考えること。たとえば、デイサービスに行きたくないと言う親を無理やりにでも行かせようとする人も多い。そんなとき、果たしてデイサービスが本人のために本当にいいことなのかを考えてみる。介護に正解はない。だから、本人にとっていちばんいい介護をつくっていくことが必要なのだ。そのためにも、親が元気なうちから親と対話を重ねて、これからの生きがいや夢などを聞いておくことが大切だ。「親の大切にしていること」を共有し、いざというときにその願いが叶えられるように、というひとつの基準をつくることができる。

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