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「核廃絶」に向けての 10 問 10 答 ――青年世代の使命と責任

Q8.2024年9月に国連本部で「国連未来サミット」が開催されます。日本の若者が核兵器廃絶を考える重要性とは何ですか?

高橋 未来サミットのベースは、グテーレス国連事務総長が2021年に発表したビジョン「私たちの共通の課題」です。


15年にSDGs(持続可能な開発目標)が採択されてから、諸課題の解決に世界中が取り組んできました。ただ課題は複雑化し、世界で1億2000万人が戦争や災害、気候変動のため避難民となっています。


未来サミットは、国益優先から、多国間主義への転換を図るためのサミットです。実際、核兵器も、自国の利益追求にひた走ることで地球全体のリスクを高める要因となってきました。気候変動も、先進国のしわ寄せを全世界、特にグローバルサウス(南半球に多い新興国・途上国)が被っています。砂漠化や洪水が頻発するアフリカ大陸のCO2排出量は、全世界の約5%に過ぎません。人類生存も国益追求も多国間主義の上にしか成り立たない、と認めるべきです。


SDGsでは、核保有国の反対によって、核兵器廃絶は言及されていません。来たる未来サミットでは、2030年以降の「ポストSDGs」を見据えて、核なき世界の重要性を発信しようとしています。


今年の5月に行った、外務省との協議では、まずは「核の恫喝が行われる中で核兵器についての意識を高めるため、核兵器の人体や社会、経済など多面的影響を伝えることは日本の貢献になる」との考えを伝えました。外務省からは「合意を目指す文章の起草段階には、核軍縮にも触れていて、これが後退しないようにしたい」との返答がありました。

Q9.私たち若者は核兵器廃絶のために何ができるのでしょうか?

高橋 ぜひ講演会やイベントに参加し、被爆者やグローバル・ヒバクシャの声を聞いてください。マーシャル諸島の核実験で被爆した船員やそのご家族は「帰港後、差別や職を失うことを恐れ、ひた隠して生きた」と証言されています。


また昨年、核兵器の開発のために、全世界で914億ドル(約14兆3800億円)ものお金が使われました。日本企業の技術が核兵器開発に利用されているケースもあります。「私たちは核開発には投資しません」と表明している金融機関(りそな銀行ほか約20行)に預金を移動させる金融資産の引き揚げは、具体的な行動の一つです。


さらに選挙で核兵器廃絶に賛成する政治家に投票することも重要だと思います。「議員ウォッチ」(https://giinwatch.jp/)では、すべての国会議員の核兵器禁止条約への賛否やコメントがわかります。

Q10.核兵器廃絶に取り組まれる思いとは何ですか?

高橋 2024年3月24日に国立競技場で気候変動対策と核兵器廃絶のために「未来アクションフェス」を開催、約6万6000人が会場参加し、50万人以上が配信を視聴しました。SGIユース(創価学会青年部)やグリーンピースジャパン、日本若者協議会などによる実行委員会の一人として私たちも実施にかかわり、国連広報センターをはじめ約150の企業・機関の後援・協賛を得て、成功に導くことができました。


未来サミットは、現在の若い世代や(今世紀末までに100億人が誕生するといわれる)未来世代の参画を促進することを目指しています。私を含む若い世代は「将来を生きる世代だから」参画すべきなのではありません。「今この時を共に生きる者」として、世代間や地域間の格差をなくすために参画し、決定権を求めています。若い世代の参画は新たなステージに移行していると思うのですが、私たちは、出席するだけでなく事前に多様な意見を聞き、集約し、届けることが重要と考えています。


今回、「青年意識調査」を実施し、12万人の回答がありました。調査では、55.9%が「現在の世界に満足していない、あまりしていない」、92.9%が「社会をよりよくするために貢献したい、どちらかといえばしたい」と答えました。


しかし、日本財団の「18歳意識調査」では「自分の行動で、国や社会を変えられると思う」という設問に対し、「はい」と回答した18歳は18.3%でした。米国、英国、中国、韓国、インドを含む6カ国中、日本は最下位です(2019年)。若い世代やさまざまな課題の当事者の声を届けるインフラが不十分で、既存のシステムが今の世代のニーズに対応しきれていないのです。


私自身も未来サミットに渡航して、若者団体への財政支援など具体的な政策を通して、意思決定プロセスへの若者の参画を実現したいと考えています。


未来アクションフェスに参加した皆さんが中心となり、まずは9月の未来サミットへ向けて、地域で「未来アクションワークショップ」などを開催し、学び、一人一人の声が受け止められるシステムをつくろう、と声をあげてください。私たちの社会は、私たちの手でつくっていきましょう。



 一般社団法人かたわらの取り組みについて、詳しくはホームページをご覧くださいhttps://www.katawara.org/


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